式正織部流「茶の湯」の世界

式正織部流は古田織部が創始した武家茶を伝えている流派で、千葉県の無形文化財に指定されています。「侘茶」とは一味違う当流の「茶の湯」を、武家茶が生まれた歴史的背景を中心軸に据えて取り上げます。式正織部流では「清潔第一」を旨とし、茶碗は必ず茶碗台に載せ、一人一碗をもってお客様を遇し、礼を尽くします。回し飲みは絶対にしません。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

59 鉄と刀

製鉄事始め 天下五剣を生んだ背景には「鉄」の存在があります。 縄文時代の長崎小原下遺跡や、弥生時代中期の福岡県赤井手遺跡に鉄を作った形跡があるそうです。当時は朝鮮半島から鉄鉱石を輸入して鉄を作っていたそうです。 562年、任那(みまな)日本府が新…

58 天下五剣

伝説の名刀「小狐丸(こぎつねまる)」 「これは一条の院に仕え奉る橘の道成(みちなり)にて候。さても今夜帝不思議のお告げましますにより、三条の小鍛冶宗近を召し、御剣を打たせられるべきとの勅諚にて候ふ間・・・」 これは、能「小鍛冶(こかじ)」に出て来…

57 鎌倉文化(13) 工芸(織・漆)

舶来ものを珍重する気風は時代を問わず日本人にはあるようです。 元寇の後に途絶えていた大陸との交易も、幕府公認の貿易が再開されました。 日本の輸出品は、金・銀・真珠・水晶・琥珀・絹織物・硫黄・水銀・銅・鉄等々です。 元からの輸入品は、香木・漢方…

56 鎌倉文化(12) 肖像画・宋画

肖像画 鎌倉時代の肖像画で最も有名なのは、教科書にも載っている「伝源頼朝」像です。 これは「神護寺三像」と言って、神護寺で所有している三幅「伝源頼朝」「伝平重盛」「伝藤原光能(みつよし)」の肖像画の内の一幅です。三幅とも国宝です。 実は、これら…

55 鎌倉文化(11) 仏画

絶え間ない戦乱、飢餓、疫病に加えて元寇と言う国難、それに追い打ちを掛ける経済の破綻の中で、人々の間に末法思想が更に強く深く広がって行きました。この時代は、多様な宗派が出現した時代です。信仰も様々な形が共存し始めます。 念仏宗と美術 極楽往生…

54 鎌倉文化(10) 絵巻物

歌を詠み管弦の遊びに興じる大宮人から、軍馬を駆り雄叫びを放つ武士の世に変わると、光華やぐ昼から光が消え、芸術も急に陰った様な感覚に襲われます。 けれどそれは、外出先から帰って玄関に入った時に感じる一時の暗さであって、目が慣れると、そこに様々…

53 鎌倉文化(9) 歴史書・他

愚管抄(ぐかんしょう) 愚管抄は天台座主・慈円が書いた七巻にのぼる歴史書です。神武天皇から仲恭天皇(ちゅうきょうてんのう)(廃帝)までの天皇の歴代の年代記を書き、三巻目からは『物ノ道理ヲノミオモヒツヅケテ』歴史を、漢字とカタカナで書き綴っています…

52 鎌倉文化(8) 物語

前項「51 鎌倉文化(7) 日記・随筆」で方丈記を取り上げましたので、余談として「利休とあさがお」についても触れました。この時代の文学作品には茶飲み話によさそうなおもしろい話が沢山あります。 今昔物語 『今は昔・・・』で始まる今昔物語は、インドや中…

51 鎌倉文化(7) 日記・随筆

日記 日本人は日記を書くのが好きです。定番三日坊主はお愛嬌としても、古くは西暦935年に書かれた「土佐日記」を初めとし、「蜻蛉日記」「和泉式部日記」「紫式部日記」と続きます。日記は個人史でありながら、その時代を映す大切な記録です。 鎌倉期に出た…