いま、都会に空き地が少なくなりました。なかなか山野草なるものを手に入れるのは難しくなりました。ベランダでのプランター栽培にしても場所が限られ、幾種類に分けて季節ごとに栽培するのには限界があります。茶花(ちゃばな)を専門とする花屋でさえ、田舎に出向いて集めたり、契約農家と契約して栽培をして貰ったりしています。中には自前のバックヤードを持っていてわざわざ栽培している例もあります。その様に正当に山野草を栽培している業者なら問題ありませんが、栽培と称して山野に分け入り乱獲を繰り返す輩も中にはあると、耳にした事も有ります。
花にはどの花にもそれぞれ物語が有ります。
桜に惹かれて桜の下で死にたいと詠った西行法師の物語、中将姫の蓮の花の物語、美しい話も悲しい話も沢山ありますが、婆がここで言おうとしている物語はそういう話では無く、ごく普通の花の、ぺんぺん草やつゆ草などが秘めている植物の物話です。
土の中に種として落ち、水や温度の時を得て発芽し、並み居るライバルたちに負けじと成長していく草花達、石を避けてぐんぐんと根を張り、成長点に覆い被さって来る他種の葉をすり抜けて、光を求めて頭角を現す、ダイナミックな生命の物語を、どの植物も持っています。そして、花を開き、実を結び、やがて役目を果たして枯れて行きます。
山野草であれ、花卉(かき)生産の花であれ、その花の物語は千差万別です。茶室の花は、その花の生涯を有るがままに活けて、自然の佇まいの美しさを引き出すことにあります。
虫食いは虫食いなりに、枯れ萎(しお)れたものは枯れ萎れたままに、命の残照の紅葉のままに、また、燃え盛る生命の輝きのままに、そこに存在する、それこそ山川草木悉皆有仏性(さんせんそうもく ことごとく みなぶっしょうあり)の心だと思います。
用 語 等 備 考
上記を踏まえて、ここに茶花(ちゃばな)の花々を列挙して行きたいと思います。
一応季節に従って1月から12月までを順に追って挙げますが、事はそう簡単ではありません。
1月の茶花と言われているツバキは、品種によって11月頃~4月頃と、開花時期がバラけております。
また、小海老草(ベロペロネ)はメキシコ原産で開花期は5月~10月ですが、管理が良ければほぼ一年中咲いています。
マユミの花は淡緑色で地味です。開花時期は5月~6月です。秋になると果皮が割けて赤い種子が出来ます。発芽前の堅い芽の時も地味な花色の時も、秋の真っ赤な実の時、更には紅葉の時も茶花になります。このように茶花の適期が幾つにも分かれるものも有ります。それ故、一概にこの花は何月の茶花であると、決め付けられないのです。そこで、植物の様相の変化に従ってその都度記載するのではなく、開花という一点に絞って季節を揃え、開花月によって順序だてた上で、その範囲内で大まかにアイウエオ順にしました。
季節 花1月~3月 とあるのは開花時期が1月~3月の意味です。
実5月~6月 とあるのは実をつける時期が5月~6月の意味です。
落広 は落葉広葉樹と言う意味です。紅葉・黄葉が期待されます。
茶花として用いるのは、必ずしも開花の季節とは限りません。冬枯れて枝だけの姿を愛でて花生けに挿す時も有れば、蕾(つぼみ)を鑑賞する事もあります。新芽のみずみずしさを茶室の床に飾る趣向も有ります。この様な訳で、茶花の季節は花の時期と一致しない場合が多々有りますので、その辺、お含み置き下されば、幸いです。
樹高 都市によって、公園などに植栽する樹木の低木・高木などの樹高基準が違うのでメートル表示はせず、類似の樹種を示して、その代わりとしました。
中木 ウメ、トサミズキ、キンモクセイ 〃 〃 〃
高木 イチョウ、サクラ、ヒマラヤ杉 〃 〃
避花
茶花に相応しくない花として、匂いの強いもの(ユリやドクダミ)、棘のあるもの(バラやボケ)、名前が下品なもの(ヘクソカズラや女郎花(オミナエシ))、有毒なものなどがあります。出来るだけそういう花を避けるのが茶花の決まりですが、例えば水仙やスズランなどは有毒植物です。これなどは結構良く茶花に用いられています。そう言うものも取り上げました。
高山植物、入手困難な地域限定の植物、絶滅危惧種などのものについては、他で茶花として紹介されていても、乱獲防止の観点から本項では簡単な記述に留め、理由を提示しております。
グループ化
同じ科でも種類の多いものについては、全体のアイウエオ順では無く、グループ内のアイウエオ順として一纏めにしました。 [例] ウメやツバキ
毒性
( )内に有毒とあるのは扱いに注意を要する花を示しています。食中毒症状(下痢・嘔吐・胃腸障害・痺れ)を引き起こすものもあれば、樹液に触れて炎症を起こす物も有ります。花瓶に挿した水を誤飲して事故を起こす事も有ります。 幼児や犬猫などのペットが葉や花を口に入れて、取り返しのつかない悲劇になってしまう場合も有ります。
有毒植物は意外と身近に多く有ります。日頃の生け花で慣れ切ってしまっていないか、もう一度振り返って頂き、取り扱いが疎(おろそ)かにならない様、改めて注意喚起したいと思います。
(実有毒)とあるのは果実・種に毒が有る事を示しています。
(全有毒)とあるのは、根・茎・葉・花・実すべてに毒が有る事を示しています。
夾竹桃(キョウチクトウ)は美しい花に似ず(全猛毒)で、燃やした煙にも灰にも毒が有ります。青酸カリより毒性が強く、僅かな量で致死量に達します。
クリスマスローズは(有毒)です。下痢を発症します。昔、クリスマスローズを水源に流し、生物兵器に使いました。
茶 花 総 覧 (晩冬~早春)
カタカナ植物名(漢字表記)(別名) 科と属
開花期 花色 樹相 実の時期 毒性有無 その他
アオモジ(青文字)(山胡椒)(山蒼樹)(ショウガノキ) クスノキ科 ハマビワ属
花3月‐4月。 淡黄白色 落広小高木 開花は春ですが、豆粒の様な緑色の蕾が枝にびっしり付きます。それを愛でて、12月ごろから茶花に使います。精油、楊枝。花言葉・友人が多い
アカギ(赤木) コミカンソウ科アカギ属
花2月-3月。 黄緑色。樹皮は全体的に赤褐色。常緑広葉樹。樹高15m~25m。南方系の木で、台湾・南西諸島・小笠原諸島などに分布。日本侵略的外来種ワースト100に指定されている。街路樹、庭木、家具などに利用。果実は食用。
梅の字の付くグループ
ウメ(梅) バラ科 サクラ属とスモモ属
花1月-3月。 種類によって白・桃色・赤・紅白咲分け等あり。落広小高木。実6-7。実有毒(種に青酸配合体有) 果実食用(梅干・梅酒等) 漢方薬(烏梅)(下痢や腹痛等の薬) 花言葉・気品・高潔・忍耐・忠実・美・長寿・約束を守る。
なお、②のオウバイ(黄梅)(迎春花)(金梅)、 ④のソシンロウバイ(素心蝋梅)、 ⑤のダンコウバイ(壇香梅)(鬱金花)、 ⑦のロウバイ(蝋梅)は漢字に「梅」の字が付くが、ウメの仲間では無い。
花2月-3月。 白or桃色 枝がくねくねと曲がる 実5-7。落広小高木 花言葉・上品・高潔・忍耐・忠実。
梅② オウバイ(黄梅)(迎春花)(金梅) モクセイ科 ソケイ属
花1月-3月 黄色 広落低木 一重と八重 花言葉・控えめな美・期待・恩恵
梅③ カンコウバイ(寒紅梅) バラ科 サクラ属
花1月-2月。 紅・濃紅。一重咲と八重咲・中輪。落広小高木。花言葉・高潔・忠実・忍耐。
梅④ ソシンロウバイ(素心蝋梅) クスノキ目 ロウバイ科 ロウバイ屬
花1月-2月 黄色 落広低木 全有毒(特に種子・アルカロイド・神経毒・硬直性痙攣・致死)。 花言葉・ゆかしさ・慈しみ
梅⑤ ダンコウバイ(壇香梅)(鬱金花) クスノキ科 クロモジ属
花3月-4月 黄色 広落低木 雌雄異株 黄葉 香気有 実9月-10月 花言葉・永遠にあなたのもの
梅⑥ リキュウバイ(利休梅)(ウメザキシモツケ)(リキュウウツギ) バラ科 ヤナギザクラ屬
花4月—6月。 白 広落低木 株立ち枝垂れ 花言葉・控えめな美しさ・気品
花1月-2月 花弁白、花芯は赤 広落低木。全有毒 (特に種子・アルカロイド・神経毒・硬直性痙攣・致死)。 漢方薬(強壮剤・殺鼠剤 )。花言葉・ゆかしさ・慈しみ・先導・先見
オモト(万年青) キジカクシ科 オモト屬
花5月-6月 淡黄色 観葉植物 結実期7月。実は晩秋に赤くなる。有毒(サポニン。溶血作用。呼吸器障害・循環器障害・嘔吐・頭痛・不整脈・致死)。薬草(強心剤・疥癬)。花言葉・長寿・長命・母性の愛・崇高な精神・相続
花7月頃。 果実11月-4月。花は白又は黄。 実は赤。常緑小低木20~100cm。センリョウ、マンリョウ、ヤブコウジ等と同じ様に、正月飾りなどに使う。因みに、マンリョウ(万両)、センリョウ(千両)、カラタチバナ(百両)、ヤブコウジ(十両)
(ガクアジサイ(開花期5月-7月)を「晩冬~早春」の項目に入れておりましたが、夏の項目に引っ越しました。2024(R6).02.0)
カランコエ ベンケイソウ科 リュウキュウベンケイソウ属(カランコエ属)
花1月-5月。 赤・黄・白・ピンク・オレンジ。多年草。ペット有毒(ブファジエノリド・心臓麻痺) 色別花言葉・赤は幸福を告げる。ピンクは長く続く愛。オレンジは人気・人望。白は沢山の小さな思い出。
カレンデュラ(キンセンカ)(冬知らず) キク科 カレンデュラ屬
花12月-5月。 黄・オレンジ色・褐色。 草丈10cm~60cm 原産地地中海沿岸。ハーブ・薬草・漢方(抗酸化作用・殺菌力・消炎・アトピー性皮膚炎など)。葉・花共に食用可。食品着色料。一般的に仏花として馴染みがある。一重咲・八重咲・小輪・スプレー咲と多品種。
カンギク(寒菊) キク科 キク属
花12月-1月。白・黄・赤。耐寒性の小菊の園芸品種。宿根草。花言葉・高潔・清浄
カンザクラ(寒桜)(元日桜) バラ科 サクラ属
花1月-2月。 淡いピンク 一重 落広中木 大島桜と寒緋桜、又は山桜と寒緋桜の雑種 大寒桜や修善寺桜の近種 花言葉・気まぐれ・あなたに微笑む
花11月から咲く。赤・白・ピンク・オレンジ。 落広低。 有棘。 ボケは200種以上の品種が有り、たまたまここでは寒木瓜を早春の区分けに入れましたが、四季咲き・寒咲・早咲き・中咲・晩咲とあります。花の少ない時期に、早春のはしりで茶花に使う例が多い為か、2月の茶花に挙げられてもいる。俳句の季語は晩冬。実でジャムや果樹酒が出来る。花言葉・平凡・退屈・早熟・熱情
花1月-3月。 花色多彩(白・ピンク・緑・紫・茶等々)。多年草。常緑(落葉種も有り)。草丈10cm~50cm。全有毒(樹液は皮膚炎を起こす。摂取は吐き気・腹痛・下痢。犬に対して特に危険)学名ヘレボルスは「殺す食べ物」の意味。 園芸品種多数 花言葉・追憶・慰め・中傷・私を忘れないで・私の不安を取り除いて下さい。
クロッカス(春サフラン)(花サフラン) アヤメ科 サフラン属(クロッカス属)
花2月-4月。 紫・薄紫・紅紫・白・黄色。 草丈5cm~10cm。球根。犬・猫に対して有毒。見た目が似ているイヌサフラン(コルチカム)(秋サフラン)はユリ科でアルカロイドのコルヒチンを含み全強毒(下痢・嘔吐・知覚麻痺・呼吸困難・致死)。薬用(痛風薬)。 花言葉・切望・青春の喜び
シキミ マツブサ科 シキミ属
花3月-5月。 薄黄色 実9-10。全有毒(特に果実・種。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。神経毒。アニサチン・ネオアニサチン。嘔吐・腹痛・下痢・意識障害・昏睡・致死)。同じシキミ属でもトウシキミは八角ウイキョウとも呼ばれ香辛料に使われる。有毒のシキミの実と八角の実と非常に良く似ているので誤食の例がある。
シュンラン(春蘭)
育苗から開花まで5年~10年の年月を要し、商業的コストパフェ―マンスに合わない。よって、野生採取が主流。人工交配や輸入物もあるが・・・実態は不明。 乱獲防止に努めたい種である。花言葉・気品・飾らない心・控えめな美。
シンビジウム ラン科 シュンラン属
花12月-4月。白・黄・オレンジ・ピンク・茶・褐色・緑。30cm~80cm。多年草。花言葉・素朴・飾らない心・高貴な美人・華やかな恋・誠実な愛情。
日本水仙の花期は12月‐2月。西洋水仙・ラッパ水仙の花期は3月-4月。花色は白・黄色 全有毒(アルカロイド・リコリン・ガランタミン・タゼチン・シュウ酸カルシュウム含有。嘔吐・下痢・発汗・頭痛・昏睡・低体温)。水仙を、ニラや玉ネギやノビルなどと間違えて調理して摂取し、食中毒を起こす事例が毎年のようにある。外国では死亡例有。 花言葉・うぬぼれ・自己愛
セツブンソウ(節分草) キンポウゲ科 セツブンソウ属
花2月-4月。白。絶滅危惧種Ⅱ類。同じキンポウゲ科のトリカブトと同じ成分 (アルカロイド・アコニチン)を持つ。 根有毒 (嘔吐・頭痛)。 乱獲防止に努めたい種である。花言葉・気品・高貴
ツバキ屬全般の共通項 ツツジ目 ツバキ科 ツバキ屬。
日本原産。照葉樹常緑小高木。自然状態では15mを越える高木になるが、現在そういう木は殆ど伐採されていて見当たらない。園芸品種は250種以上。木質は堅い。有用材(細工物・精油・食用油)。以下に記す15種は茶花の代表的品種・他にも沢山ある。 花言葉・控えめな美しさ・控えめな素晴らしさ・誇り
ツバキ① アケボノツバキ(曙椿)
花11月‐4月。 淡桃色 猪口咲から椀咲へ。一重咲 中~大輪 実9月-11月
花11月‐3月。 濃い紅色 極小輪
ツバキ③ カンツバキ(寒椿)
花11月‐2月。 椿と山茶花の交雑種。花は花弁一枚ごとに落ちる
ツバキ④ コシミノツバキ(腰蓑椿)
花11月-4月。花色は白と赤。一重唐子咲(唐子咲は蕊が花弁に変化して八重咲に見えるもの)
花3月‐4月。 桃色に白の斑入り 猪口咲 一重咲 小輪
花11月-3月。 白 猪口咲。一重咲。 小輪。雄蕊の葯(やく)が退化していて種が出来ない。
花12月‐2月。 薄桃色に白のぼかし。 猪口咲 一重咲 小輪
ツバキ⑧ セイオウボ(西王母)
花9月-4月。 淡桃色 金沢市産出 筒咲 一重咲き
ツバキ⑨ ダイカグラ(太神楽)
花10月-3月 赤地に白の斑入り。ボタン咲・獅子咲。中高木。
ツバキ⑩ タマノウラ(玉の浦)
花1月‐4月。 紅色に白の覆輪)。中輪。長崎県玉之浦町で発見。原木枯死。世界的名花。各交配種の親になっている。
ツバキ⑪ タロウアン(太郎庵) (セキドタロウアン)
花11月-4月。 淡桃色。一重咲。抱え筒咲。中輪
ツバキ⑫ タロウカジャ(太郎冠者)(有楽(うらく))(ウスワビスケ)
花12月‐4月。 桃色 筒咲~ラッパ咲 中輪。織田有楽お好みの椿。京都等持院に400年樹齢のタロウカジャ椿がある。
ツバキ⑬ ハツアラシ(初嵐)(初嵐嵯峨)
花11月-3月。咲き始めは淡い桃色だが次第に白に変化。一重筒咲からラッパ咲。中輪
ツバキ⑭ ミョウレンジツバキ(妙蓮寺椿)
花11月-4月。 白・淡桃色・紅色。椀咲。中輪。蕾は丸くふくよか。
ツバキ⑮ ヤブツバキ(藪椿)
花2月‐4月。 (11月頃から咲くものもある。) 高木 日本固有。多くの椿交配種の親になっている。花は首から落ちる。花は食用可。食用油。整髪料・染料)
花2月-5月。 黄色 草丈30cm~70cm 食用野菜 菜種油 一面の菜の花畑は壮観。菜の花は俳句では晩春の季語。菜種梅雨は3月半ば~4月初旬までの長雨。菜種月は霞んだ月。 花言葉・小さな幸せ・明るさ・活発・快活な愛・競争・豊かさ・財産等。
ハシバミ(榛) カバノキ科 ハシバミ属
花3月-4月。雄花は黄褐色。尾状花序で垂れ下がる。落広低木1~5m。セイヨウハシバミは果実食用(ヘーゼルナッツ)。榛色(はしばみいろ)はヘーゼルナッツの皮の色からきている。やや暗めの黄土色に近い。 花言葉・仲直り・調和
ハンノキ(榛の木) カバノキ科 ハンノキ属
花2月-3月。雌雄同株。葉に先立って花が出る。雄花穂は黒褐色で円筒形になって垂れ下がります。雌花穂は紅紫。落広高木4~20m。葉の寿命は短く6月ごろから緑色の内に落葉し始める。耐水性が有り湿地を好む。有用材。崩落危険の法面への植林や治山ダムなどの材・落葉の堆肥・家具・染料・漢方薬(抗菌薬・消臭効果・造血作用)。 花言葉・忍耐・豪勇
漢字「榛」は、「ハシバミ」にも「ハンノキ」にも使われているので、ややこしいから注意。
もともと榛は「はり」と読み、「はりのき」が訛(なま)って「はんのき」となったらしい。
フキノトウ(蕗の薹) キク科 フキ属
花3月-5月。 黄白色 雌雄異株 草丈30cm~80cm。雌の花茎は40cm~70cmで綿毛を付ける。自生種と栽培種があるが、自生種は年々減少している。灰汁(あく)がある。食用。 花言葉・待望・愛嬌・真実は一つ・仲間
フクジュソウ(福寿草)(元日草)(朔日草(ついたちそう)) キンポウゲ科 フクジュソウ属
花2月-4月。 黄色 花が先行して咲き、後から葉が出て来る。草丈10cm~30cm。根強毒(アドニン・シマリン・アドニトキシン・嘔吐・心臓麻痺・呼吸困難・致死)。生薬(浸剤・強心・利尿作用・チンキ剤(民間療法は大変危険)。
ペット有毒(致死)。 花言葉・幸せを招く・永遠の幸福・悲しい思い出・回想・死の危険・豊穣
ベニフキ(紅蕗)(赤蕗) キク科 フキ属
花は白・花の周りのガクやそれを取り囲む葉は赤紫。茎も赤。葉は食用フキと同じ形をしていて、緑。山野草。蕗と同じだが、食味は蕗よりずっと落ちる。堅くて中々煮えず、えぐい。 花言葉・待望・愛嬌・真実は一つ
ボタン(牡丹)(富貴草)(百花王)(花神) ボタン科 ボタン属
ボタンには2種類のボタンがある。寒牡丹と春牡丹である。冬牡丹は人工的に管理して春牡丹を冬に咲かせたもの。大輪咲。根は生薬として用いる(ベオノール。消炎・解熱・止血・鎮痛・浄血・月経痛・子宮内膜症)。 花言葉・王者の風格・高貴・壮麗・誠実・恥じらい。
牡丹① カンボタン(寒牡丹)
寒牡丹は遺伝的に春と秋の二期咲。赤・赤紫・紫・黄・白。一重咲・八重咲・千重咲。春と秋の二期に分けて咲く牡丹ですが、春の花芽を摘み取って、秋の花芽のみを咲かせ、冬の鑑賞用にしたもの。その為、冬に咲いている時は葉が殆どない。
牡丹② ハルボタン(春牡丹)
春牡丹の花は4月-5月に開花する。花色や咲き方、樹高などその他の項目は寒牡丹と同じ。
牡丹③ フユボタン冬牡丹
花12月‐1月 春牡丹の事。温度管理などで人工的に促成栽培をして冬に開花させたものを冬牡丹と言う。なので、冬牡丹には葉がいっぱい有り、茎が若い。但し、樹勢に無理がかかるので、短命である。それに対して遺伝的に二期咲の寒牡丹は寿命が長く、30年は持つ。
花3月-5月。色は黄・紫・薄紫・薄緑・白等々。但し、鑑賞するのは葉の色である。花は、薹(とう)が立つ3月ぐらいから菜の花と同じ形の黄色い花を咲かせ始め、いわゆる花の王者と言われる牡丹とは全く違う。葉牡丹の葉の鑑賞期間は1月-3月。二年草・多年草。草丈5cm~100cm。 花言葉・祝福・慈愛・愛を包む・利益・物事に動じない。キャベツの仲間だが、食用は不向き。
マツ(松) マツ科 マツ属
花5月。雌雄同株。花弁無。雌蕊と雄蕊のみ。黄色・褐色・赤。常緑高木針葉樹。樹高10m~50m。有用材(建築材・土木材・防風林・松脂・松の実(食用)等々)。赤松は野原・山地に生え、黒松は海岸近くに生える。松茸は赤松の根本に生え、黒松の根元には出来ない。「松は千年の翠」と言い、常緑を吉祥の標として愛で、正月飾りに多く使われる。 花言葉・哀れみ・同情・不老長寿・勇敢・永遠の若さ
マツ① アカマツ(赤松)(女松(めまつ)) マツ科 マツ属。
常緑針葉樹。高木。松の代表格。葉は2本づつ束ねて生える(2束生)。樹皮が赤い。樹形が黒松より優しい。移植と剪定に弱い。
マツ② キタゴヨウマツ(北五葉松) マツ科 マツ属
花5月-6月。常緑常緑針葉樹。高木。日本固有種。樹高30mに達する。葉の長さ3-8cm。葉は5本ずつ束ねて生える(5束生)。寒冷地を好む。北海道・本州中部日本海側
マツ③ クロマツ(黒松)(男松) マツ科 マツ属
花4月-5月。常緑針葉樹。高木。松の代表格。生育地・本州~沖縄・朝鮮南部。葉は2本ずつ生える。葉の長さ10~15cm。樹皮が黒っぽい。
マツ④ ゴヨウマツ(五葉松) マツ科 マツ属
常緑針葉樹。樹高30mに達する。松ぼっくりは5~8cm。葉は5本束生。
マツ⑤ ダイオウショウ・ダイオウマツ(大王松) マツ科 マツ属
常緑針葉樹。高木。樹高40mに達する。葉の長さ20~50cm。葉は3本ずつ束生。松ぽっくりの大きさは15~25cm。成長は遅いが、森林火災などで熱に遭うと成長を開始する。
マツ⑥ タギョウショウ(多行松) マツ科 マツ属
花4月-5月。中心になる幹が無く、根元から何本も枝が出て来る。葉は2本束生。日本の園芸品種。低木。樹高約5m以内。
マツ⑦ ハイマツ マツ科 マツ属
寒冷高地に生育。高山植物。葉は5束生。茶室よりもアルプスが似合う樹。雷鳥の為に採らずにそっとしておきましょう。
マツ⑧ リュウキュウマツ(オキナワマツ) マツ科 マツ属
花3月-4月。雄花淡黄色・雌花赤紫。常緑針葉樹。樹高15mに達する。葉は2本束生。長さ3~6cm。葉が細長く優しい印象を受ける。
マツユキソウ(松雪草)(待雪草)(スノードロップ) ヒガンバナ科 ガランサス属
花2月-3月。 花は白。釣鐘型。葉は水仙に似る。草丈7cm~15cm。 多年草。球根が有毒(ガランタミン。リコリン。眩暈・嘔吐・下痢)。季語・春。 花言葉・希望・慰め。
マンサク(万作) マンサク科 マンサク属
花2月-4月 花は黄色。花弁は錦糸卵の様な形で房状になる。落広小木。実9月-10月。枝は柔軟強靭で樹皮を「輪かんじき」や木材の結束に使われる。黄葉・紅葉も美しい。 花言葉・私から愛したい・呪文・霊感・おまじない。
ミスミソウ(三角草)(ユキワリソウ(雪割草)) キンポウゲ科 ミスミソウ属
花3月‐4月 花に見えるのはガク。白・ピンク・赤・紫・褐色・黄色。一重咲きも八重咲も有り。草丈10cm~20cm。常緑性。 薬草(ニキビ・気管支炎・痛風)。 原産地・北陸地方・東北地方の日本海側。 花言葉・自信・信頼・忍耐
★ムシカリ (虫狩)(大亀の木) ガマズミ科 ガマズミ属 ★ 利休7選花の一つ
花4月-6月。 花色は白。落広低木。実9月-10月。実の色は赤や黒。紅葉・果実・冬芽(花芽・葉芽)・枝ぶりなどなど鑑賞に堪える風情を持ち、開花期間に限らず、茶花としてよく用いられる。虫がこの木の葉を好み、葉に虫食い穴が沢山ある。。 花言葉・以心伝心
ムシカリの分類上の科と属が分類方法によって以下の様に分かれているので、それを記す。
スイカズラ科ムシカリ属 or ガマズミ科ガマズミ属 or レンプクソウ科。
分類の違いの理由。牧野富太郎博士の時代の分類は形態の違いによって分類していたが、今は生物進化の系統樹と遺伝子レベルの解析(APG 分類体系)によって分類を行う方向に移行しつつある。
ヤシャブシ(夜叉五倍子) カバノキ科 ハンノキ属
花3月-4月。雌雄異花。雄花尾状花序で垂れ下がる。雌花は雄花の下の葉の脇からでる。雄花の色は淡黄緑色。果実緑色球形で小さな突起がいっぱい有ってごつごつしている。有用材(根の根粒菌により土壌改良。落葉により堆肥効果有り。荒廃地緑化。タンニンを多く含むので、黒色の染料になる)。花粉症誘発。 花言葉・永遠
ヤナギ ヤナギ科 ヤナギ属
ヤナギはヤナギ属の総称。春には繭玉の様な白銀色の花穂を出す種もあれば、尾状花序と言って、円筒形の穂の様なものを垂らす種も有る。日本では水辺に近い所に生育している種が多いが、山地に分布するものもある。落葉性。低木から高木まで様々。樹形も枝垂(しだ)れるものから地を這うもの迄ある。漢字表記を厳密に書けば、枝垂れる品種のものを「柳」と書き、上を向いて立ち上がるものを「楊」と書く。実際にはネコヤナギを猫柳と書いて猫楊とは書かないので、日本ではその辺の区別は余りしていない。日本にヤナギ類は30種類以上ある。
初釜(正月に初めて開く茶会の事)の床に、結び柳を飾る習慣が有る。床柱に青竹の花入れを釘に掛けて、上から輪に結んだ柳を下に届くほど長く垂らして活けるのだが、その謂(いわ)れは諸説ある。いずれも中国の故事に倣っている。①魔除け ②柳を竜の音に託して立身出世を願う ③別離の時に互いに柳の枝を結び、旅の平安と再会を約する風習による。輪は無事に回って再び元に戻る事を表す。
柳全般の花言葉・従順・自由。
ヤナギ① アズキヤナギ(小豆柳)
ふわふわした花芽。 新芽2月-3月 芽吹く前の小さい堅芽が赤紫で小豆の様である。しなやかで成形がし易い。 花言葉・努力が報われる。
ヤナギ② ウンリュウヤナギ(雲竜柳)(ドラゴンヤナギ)
花の色は黄色。 幹・枝・葉の全てが捩(よじ)れて独特の樹形になる。葉裏は白い。高木10m~20m。花言葉・素早い対応。
ヤナギ③ クロヤナギ(黒柳)
花2月-4月 黒っぽい花序。若枝は赤い。野生のクロヤナギは無く、栽培種のみである。猫柳の突然変異と見られる。
ヤナギ④ コリヤナギ(杞柳)(カワヤナギ)
花3月-4月 白茶色。尾状花序だが、穂は英字のCの形をして下向きに着く。しなやかで丈夫。この枝で行李を作った(ヤナギの枝で編んだかぶせ蓋付の箱。衣類などを入れる)。 花言葉・しなやかな心
ヤナギ⑤ シダレヤナギ (枝垂(しだれ)柳)
花3月-4月 淡黄白色。尾状花序で穂状、下向きに着く。落葉高木。有用材(河川護岸・爪楊枝等・花材)・薬用(鎮痛)) 花言葉・自由・従順
ヤナギ⑥ ネコヤナギ (猫柳) (カワヤナギ)
花3月‐4月 花穂は猫の毛並みの様にふわふわ。白い綿毛の時期は初夏。 花言葉・自由・思いのまま・努力が報われる。親切
ヤナギ⑦ ハコヤナギ(箱柳)(セイヨウハコヤナギ)(ポプラ) ヤナギ科 ヤマナラシ属
花3月-4月。落広高木。果期5月-6月。北海道大学のポプラ並木が有名。 花言葉・敏感・勇気・度胸
ヤナギ⑧ フリソデヤナギ(振袖柳)(赤目柳)
花2月-3月。尾状花序。花芽は赤い皮を被っているが、早春に赤みを帯びた白いふわふわの毛の部分が出て来る。
花7月-8月。 実10月-11月。 花は白または淡桃色。 常緑小低木。樹高10‐30cm。一見草の様に見える。果実は下向きに着く。全生薬(漢方薬・回虫やぎょう虫の駆除薬・喉の腫瘍・鎮咳・去痰)
この記事を書くに当たり、下記の様な本やネット情報を参考に致しました。
原色植物百科図鑑 集英社
学生版 原色牧野日本植物図鑑 北隆館
山の花HILLS ヒルズ 北隆館
山の花MOUNTS マウンツ 北隆館
ブティック社 花と観葉植物・ハーブの育て方がよくわかる 園芸百科
厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:
公益社団法人 日本薬学会
公益社団法人 東京生薬協会
一般社団法人 日本中毒学会
庭木図鑑 植木ペディア 毒のある草木
かぎけん花図鑑 有毒植物(毒草)
毒性植物リスト-FIT森の草木染教室-Jimdo
APG 分類体系と植物の進化 横浜国立大学教育学部 倉田薫子
草木図譜 ツバキ-草木図鑑
ツバキの園芸品種図鑑
石光寺 ホンモノの寒牡丹 冬の石光寺と二上山の借景「時期:11月」
季節の花300
植物図鑑・Q&A EVERGREEN
heral tree shop nae-ya
みんなの趣味の園芸
lovegreen.net
続・楽しい植物 観察入門 大日本図書
Green Snap
この外に「ウィキペディア」、「コトバンク」などなど多くの情報を参考にさせていただきました。有難うございました。