式正織部流「茶の湯」の世界

式正織部流は古田織部が創始した武家茶を伝えている流派で、千葉県の無形文化財に指定されています。「侘茶」とは一味違う当流の「茶の湯」を、武家茶が生まれた歴史的背景を中心軸に据えて取り上げます。式正織部流では「清潔第一」を旨とし、茶碗は必ず茶碗台に載せ、一人一碗をもってお客様を遇し、礼を尽くします。回し飲みは絶対にしません。

200 茶花総覧(5) 夏(た行~は行)

よく見れば ナズナ花咲く 垣根かな   芭蕉

ナズナはよく見ないと見落としてしまうほど地味な花ですが、とても可愛らしく、捨てがたい味わいが有ります。春から秋にかけて、何処にでも咲いている花なので、昔なじみの友達の様な親しみを覚えます。

先日、桜で有名な近くの公園に行きましたところ、公園の真ん中にあるメインサークル一面に黄色いパンジーが咲き誇っていました。そして、それと妍を競う様にホトケノザナズナが同じサークル内に繁茂していました。ホトケノザの紫とナズナの白い霞となったような群落が相まって、滅多に観られない美しい景観が広がっていました。

いえ、公園管理の不行き届きを言っているのではありません。こういう景色も良いなぁ~と暫くベンチに腰掛けて眺めていたのです。どうぞ、ぺんぺん草も絶滅危惧種になりませんようにと祈りながら、帰途につきました。

 

さて、と、再びパソコンに向かって・・・

毒性の有無について、対人で有毒と在りながら、ペット有毒表示が欠落している条が所々あります。ただ、ネコちゃん・ワンちゃん・家畜などへの毒性で調べても分からなかった部分は、ペット有毒表示をしておりません。ま、人間に有毒なものは、動物にも有毒かも知れないと考えて、用心して頂ければ幸いです。

それと、有名植物については成分の分析の対象になり易いのですが、あまりなじみのない植物についてはわざわざ取り上げて研究する人も居ないようで、有毒無毒か分かりません。有毒表示がないから「無毒である」と断定できない事を、念のため申し上げます。触ってかぶれる、臭いがある、噛んで苦い、その植物が分類されている科や属に有毒植物がある、といった様な植物は、胃に入れない方がよさそうです。

 

茶花総覧を、前号に引き続行から始めます。

 

ダイコンソウ(大根草)  バラ科  ダイコンソウ属

花6月-8月。 黄。花弁5枚・花径15㎜・花の様子は梅鉢紋に似る。雌雄の蕊は多数。果実はトゲトゲで棘の先端が曲がっている。葉は羽状奇数複葉・葉柄の頂上小葉が大きく、左右の側小葉は不揃いで不規則・大根の葉に似る。北海道から九州に分布。林間・湿地・草原・道路脇などに生育。生薬(生薬名(水楊梅(すいようばい)・トリテルペン・利尿・強壮・消炎・腎臓障害による浮腫・対糖尿病・夜尿症)。 分布特性上重要な種(鹿児島県)。

上記の外に、何々ダイコンソウという絶滅に瀕した種に、以下の4種がある。

オオダイコンソウ 絶滅危惧Ⅰ類(千葉県・愛知県)。絶滅危惧Ⅱ類(新潟県茨城県・東京都・神奈川県・福井県)。分類上重要種(滋賀県)。

カラフトダイコンソウ 絶滅危惧Ⅰ類(秋田県宮城県福島県鳥取県)。絶滅危惧Ⅱ類(青森県福井県)。絶滅危惧種(石川県)地域個体群(新潟県)。

コダイコンソウ  絶滅危惧2類(千葉県)。

ミヤマダイコンソウ 絶滅危惧Ⅰ類(青森県奈良県愛媛県)。絶滅危惧Ⅱ類(秋田県福島県福井県)。地域個体群(新潟県)。

※ 羽状複葉とは、葉軸の左右に小葉が対(つい)になって何枚も並んで付き、鳥の羽根の様に見えるもの。羽状複葉には小葉の数が偶数のものと、奇数のものが有る。

※ 奇数複葉とは、羽状複葉の主葉軸先端に小葉が1枚着いたもの。例:バラの葉・香辛料に使うサンショの葉。

※ 葉柄(ようへい)とは、葉と茎を結びつける連絡通路の様な柄(え)のこと。

 

タケニグサ(竹似草)(チャンバギク)  ケシ科  タケニグサ属

花は7月-8月。 白。無数の花を着ける。白い咢(がく)が落ちて開花し、中から数十本の白い雄蕊と黄色味を帯びた雌蕊が出て来る。1日花である。茎は直立。茎は中空。傷をつけると橙色の乳汁が出る。葉は菊の葉を巨大化した様な形で不規則な切れ込みがある。葉身は1枚で30-40cm位に達する。草丈1-3m。無限円錐花序(むげんえんすいかじょ)。日本原産。 生薬(薬名・博落廻(はくらくかい)・皮膚病・タムシ・畑の害虫駆除)。 全有毒(アルカロイド(プロトピン・ホモグリドニン・サンギナリン・ヘレリトリン)・かぶれ・嘔吐・大脳中枢麻痺・体温低下・脳貧血)。 ペット有毒(アレルギー・嘔吐・縮瞳・血圧低下・呼吸麻痺・重篤の場合致死)。花言葉・素直・隠れた悪。

※ 無限花序(むげんかじょ)とは、茎の下の方から咲き始めて上へ開花が進んで行くタイプを言う。茎の先端がぐんぐん成長するにつれ、花も成長に合わせて際限なく上へ登って行く(例:ナズナ(=ペンペン草))。これを真上から見ると、外側から咲き始めて段々中心に向かって咲き進むので、求心花序とも言う。

 円錐花序(えんすいかじょ)とは、枝や茎が分枝を繰り返し、円錐状に花が着くような形の咲き方を円錐花序と言う。。例:サルスベリナンテン

 

タチアオイ(立葵)(蜀葵(しょっき/カラアオイ))(ホリホック) アオイ科 タチアオイ

花5月-8月。 赤・ピンク・紅・黄。一重咲・八重咲。花径7-10㎝。葉は掌状形(しょうじょうけい)・鋸歯(きょし)有り・毛深い。有花径(ゆうかけい)は直立・草丈1-3m。 宿根多年草。 原産国・中国説とトルコ・東欧説が有る。日本には万葉集の昔から薬用として渡来。花が美しいので観賞用に栽培もされ、屏風絵などにも描かれている。エジプト・ギリシャ・ローマ時代から或いは中国で、様々な薬効が数えられて来た。利尿・疲労回復・咳止め・胃腸薬・皮膚炎等々だが、今では殆ど薬としては用いられず、専ら観賞用になっている。花言葉・豊かな実り・気高く威厳に満ちた美・野望。

※ 掌状形(しょうじょうけい)とは、カエデの葉の様に何裂か切れ込みが有り、人の手の形に似ている葉をいう。

※ 鋸歯(きょし)とは、葉の縁にあるギザギザの事。

※ 有花茎(ゆうかけい)とは、花だけを着ける茎を花茎(かけい)と呼ぶのに対し(例:タンポポ)、花も葉も着ける茎を有花茎と言う。

 

タツナミソウ(立浪草)  シソ科  タツナミソウ属

花4月-5月。 青紫・淡赤紫・白。 花は筒状・花の長さ約2㎝・花冠は上下二つに割れ、下は唇弁で末広がり3裂・上は兜状の唇弁。下の唇弁に濃い紫の斑点が有る。咢から急に曲がって立ち上がり、直立。花は二輪一対で茎の片側だけに付いて穂状を成す。花穂(かすい)は3-8㎝。葉は卵形(らんけい)又は丸みのある三角形で、基部はハート形・鋸歯有り。全体的に柔毛に覆われている。草丈20-40㎝。林縁などの半日陰や、草地を好む。薬草(スクテラリン・クリシン・悪寒や頭痛や発熱改善・解毒・鎮痛剤・対打撲傷・対吐血・対出来物・対歯痛・対喘息・対創傷出血)。 花言葉・私の命を捧げます。

シソ科タツナミソウ属で、何々タツナミソウと言う植物の内、絶滅危惧のレッドリストに挙げられている種類が下記の16種ある。

アカボシタツナミソウ ・ アツバタツナミソウ ・ イガタツナミソウ ・ エゾタツナミソウ ・ オカタツナミソウ ・ シソバタツナミソウ ・ タツナミソウ ・ ツクシタツナミソウ ・ デワタツナミソウ ・ ハナタツナミソウ ・ ヒメタツナミソウ ・ ホクリクタツナミソウ ・ ホナカタツナミソウ ・ ムニンタツナミソウ ・ ヤマジノタツナミソウ ・ ヤマタツナミソウ

その中で代表的なものをピックアップする。

イガタツナミソウ  絶滅危惧Ⅰ類(千葉県)絶滅危惧Ⅱ類(東京都・三重県)。絶滅危惧種(岩手県京都府)。情報不足(兵庫県)。

デワノタツナミソウ  絶滅危惧(山形県・千葉県・三重県)。絶滅危惧Ⅱ類(青森県)絶滅危惧種(秋田県富山県福井県兵庫県)。

ヤマタツナミソウ  絶滅危惧Ⅰ類(京都府奈良県和歌山県香川県徳島県高知県山口県・福岡県・宮崎県・鹿児島県)。絶滅危惧Ⅱ類(千葉県・・三重県)。絶滅危惧種(滋賀県)。希少種(滋賀県)。

※ 花穂(かすい)とは、花の穂。茎の上方に連続して花が着き、穂の様になっている状態を言う。

※ 卵形(らんけい)とは、葉身の半分よりも基部に近い方が丸味が大きく、半分よりも葉先の方が丸味が小さい葉の事を言う。披針形に近いが基部で楔形にはならず、丸味を帯びたまま茎に着く。

 

タニウツギ スイカズラ科(タニウツギ科)  タニウツギ

花5月-7月。 赤・淡紅色・白。花はラッパ型で花冠(かかん)は5裂・花径(かけい)2㎝。雄蕊5本・雌蕊は雄蕊より長い。葉腋(ようえき)に2- 3輪の花をつける。葉は卵形・楕円形又は倒卵形(とうらんけい)。幹は株立(かぶ)・落葉広葉樹低木・樹高1-5m。日本特産・日本海側の日当たりの良い山地斜面に良く見られる。花言葉・豊麗。 絶滅危惧Ⅰ類(和歌山県)

※ 花冠(かかん)とは、花弁によって形作られる花全体の姿を言う。

※ 花径(かけい)とは、花が開いた時の直径。

※ 葉腋(ようえき)とは、葉が茎に密着している箇所の上側。股の上。

※ 楕円形(だえんけい)とは、葉身の1/2辺りが一番幅が広くなっていて、葉先へも基部へも同じようなカーブを描きながら収束して行く葉の形を言う。

※ 倒卵形(とうらんけい)とは、葉身の半分よりも葉先に近い方の幅が広くなっており、半分より基部に近い方が狭くなっていて窄(すぼ)まっている形を言う。卵を逆さにした様な形である。

 

ダチュラ(ダツラ) (チヨウセンアサガオ) → チョウセンアサガオ参照

 

タマスダレ(玉簾)(ゼフィランサス)(レインリリー)  

   ヒガンバナ科(ユリ科) タマスダレ属(サフランモドキ属)

花7月-9月。 白。 花弁長楕円形で6枚・葉は線形。草丈30㎝。球根植物・多年草全有毒(特に鱗茎)(リコリン・吐気・嘔吐・痙攣)・葉がニラやノビルに似ていて誤食し易い。(リコリン・子供のひきつけ・てんかんに対し、潰した本品を塗布)。 花言葉・穢れなき愛・純白の愛・期待・便りが有る。

 

チゴユリ(稚児百合) イヌサフラン科 チゴユリ

花4月-6月。白。花弁6枚・花弁の形は細身の長三角形・花径1㎝くらいで、下向きに咲く。葉は楕円形又は卵形で先端は先細る。地下茎による無性繁殖。草丈15-30㎝。全有毒(成分不明・嘔吐・下痢)。花言葉・私の小さな手をいつも握って・恥ずかしがり屋。

絶滅危惧種Ⅰ類(千葉県・宮崎県・鹿児島県・佐賀県)。 絶滅危惧Ⅱ類(長崎県)

上記チゴユリの外に、何々チゴユリという絶滅危惧種が下記の2件ある。

オオチゴユリ  絶滅危惧Ⅰ類(東京都)

キバナチゴユリ  絶滅危惧Ⅰ類(大阪府・福岡県・鹿児島県)。絶滅危惧Ⅱ類(大分県・宮崎県)

 

チヨミグサ(千代見草)(チヨグサ)(千代草)(菊) → 秋の項目でキクを取り上げる予定。

 

チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔) (マンダラゲ) (キチガイナスビ) (ダチュラ) (トランペットフラワー)  ナス科  チョウセンアサガオ

花6月-9月。白。花はロート状・合弁花・朝顔型だが花の中心部から出る筋の先端が尖(とが)っている。花径10‐15㎝。葉は広卵形で葉身10‐20㎝。 葉の縁が波状。果実に棘が有る。全有毒(ヒヨスチアミン・アトロビン・スコポラミン・嘔吐・瞳孔散大・呼吸の乱れ・呼吸困難・痙攣・重篤の場合は致死)。 (アトロビン・麻酔薬(通仙散)・江戸時代、花岡青洲が世界初の麻酔薬を完成、全身麻酔の手術を成功させた。鼻水鼻づまり治療薬)。日本麻酔科学会のシンボルマークになっている。花言葉・愛嬌・偽りの魅力。

 

チョウセンキンミズヒキ(朝鮮金水引)   バラ科  キンミズヒキ

花6月-10月。黄。花弁5枚・花弁の形は長楕円又は倒卵形花径6-10㎜・花柄(かへい)1-5㎜。花は有花茎の上方にまばらに着き、穂状を成す。開花は茎の頭頂から始まり、下へと開花が進んで行く(有限花序)。葉は奇数羽状複葉。小葉は葉柄が無く対生する・小葉の形は倒卵形又は楕円形又は披針形(ひしんけい)。草丈30-120㎝。多年草。低山や草地や山地の道端などを好む。日本・ユーラシア東部・ベトナム北部に分布。開発や鹿などの食害で生育地が減少の一途を辿っている。(生薬名・龍牙草(りゅうがそう)・仙鶴草(せんかくそう)・イソクマリン類・タキシフォリン・下痢止め・整腸薬・うがい薬・冷湿布剤・入浴剤)。花言葉・しがみつく。

環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU) ・ 絶滅危惧I類(福島県群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・岐阜県三重県大分県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(高知県)。絶滅危惧種(北海道・岩手県宮城県・栃木県・長野県・滋賀県・鹿児島県)

※ 花柄(かへい)とは、花と茎や枝を結びつける連絡通路の様な柄(え)のこと。

※ 有限花序(ゆうげんかじょ)とは、花の咲き終わりがある花序の事。茎の天辺から咲き始めてどんどん下へ咲き進むと、やがて詰まってそこで終わってしまう花序の事を言う。またの名を遠心花序

※ 葉柄(ようへい)とは、 葉と茎を結びつける連絡通路の様な柄(え)のこと。

※ 対生(たいせい)とは、葉が向き合って茎に着いている状態。

※ 披針形(ひしんけい)とは、葉身を半分にして、葉先の先端に行くに従って窄(すぼ)まって尖(とが)り、逆に葉元の基部に近づくに従って幅が広がる形を言うが、基部近づくと急に楔形(くさびがた)に尖る葉の形を言う。

 

チョウジソウ(丁字草)  キョウチクトウ科  チョウジソウ属

花5月-6月。 水色。花は筒状・花冠は深く5裂・花弁の裂片は長三角形・星形・花径15㎜・有花茎の先に花を多数つける。集散花序(しゅうさんかじょ)。葉は披針形・ 互生・草丈40-80㎝。日の当たる湿地を好む。宿根草。分布は北海道~宮崎県・東アジア。休耕田の放置による土地の乾燥化、開発、護岸工事などの環境の変化と、山野草ブームにより、その生育地が激減し、その生存が危ぶまれている。全有毒(テトラヒドロアムソニン・βヨヒンビン・タベルソ・ビンカミン等々・瞳孔が開く・血圧低下・麻痺・血管収縮)。検索した先に取扱注意の表示が随所にみられた。 花言葉・控えめな美しさ。

環境省カテゴリ絶滅危惧(NT)。絶滅(千葉県・東京都・神奈川県・富山県)。絶滅危惧Ⅰ類(宮城県福島県茨城県群馬県・埼玉県・石川県・福井県岐阜県滋賀県京都府大阪府兵庫県和歌山県徳島県島根県山口県・福岡県・大分県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(北海道・青森県秋田県山形県新潟県・栃木県・静岡県三重県岡山県広島県)。情報不足(岩手県奈良県)。

※ 集散花序(しゅうさんかじょ)とは、花軸の頭頂から花が咲き始め、下へ向かって順次開花して行くタイプの花。有限花序の一つ。

 

ツキヌキニンドウ(突貫忍冬)(突抜忍冬)(ロニセラ)  スイカズラ科  スイカズラ

花5月-9月。花の外側が赤橙色で内側が黄色。 細いラッパ型・花冠5裂・花の長さ3-5㎝。 穂状花序(すいじょうかじょ)・葉は楕円形・対生・花序のすぐ下の葉は対生の葉どうしが合着して円形になっており、その真ん中を茎が通っている様子から「突き抜き」という名前が着いた。忍冬の名は、冬越えをするスイカズラを忍冬と言うから。常緑蔓植物・蔓の長さ3m。原産地・北米。花言葉・愛の絆・献身的な愛・真実の愛。

 穂状花序(すいじょうかじょ)とは、主軸が長く伸び、花柄が無く、花が直接茎に密着して穂の様に長く連なって咲く花のタイプを言う。例:オオバコ・ミズヒキ・グラジオラス。

 

ツキミソウ(月見草)  アカバナ科  マツヨイグサ

花6月-9月。  白。 夕方に開花するが、その時は白であり、朝に散る頃は淡いピンクに変化している。花弁4枚。花弁の形は緩やかなハート形・葉腋から花柄を出し、花径3-4㎝の花を咲かせる。雄蕊8本・柱頭は4つに分かれる。葉は披針形・葉先は鋭く尖(とが)る。鋸歯があり、鋸歯は深く不規則に裂ける。嘉永年間に日本に渡来・草丈60㎝。メキシコ原産。今では殆ど見られない。ツキミソウマツヨイグサの混同が著しく、今ではオオマツヨイグサ(花が黄色)とマツヨイグサ(花が黄色)を月見草と呼んでいる。「富士には月見草が良く似合う」太宰治が言った月見草は黄色い花と言うので、マツヨイグサかオオマツヨイグサである。

日本のレッドデータ検索システムで「ツキミソウ」を検索できなかった。ん?

1966年の初版・平凡社発行の世界大百科事典にはツキミソウが載っており、上記の植物の様子はそれに沿った内容で載せてある。世界大百科事典を読むと、「現在ではほとんど見られなくなった」と記述されている。辞典が発刊されてからおよそ60年後の今、環境省の絶滅危惧のレッドデータに載っていないと言う事は、既に完全に野生では絶滅している、と言う事かも知れない。

 

ツクバネ(突羽根)(ハネツキノキ)(ハゴノキ)(他にも別名幾つか有り) ビャクダン科 ツクバネ属

花5月-6月。花は緑色で小さい。雌花は枝先に一つで4枚の苞がある。雌雄異株。葉は対生(向き合って一対でつく)。果実10‐12月。4枚の苞が3㎝ほど実から伸び、羽根つきの羽根とそっくりな形で、秋になると茶色くなり、くるくると回りながら落下する。半寄生植物。他の樹の根に寄生しながらも、光合成をおこなっている。落葉広葉樹低木1-2m。  絶滅危惧Ⅰ類(山口県愛媛県)。絶滅危惧Ⅱ類(千葉県・神奈川県・高知県)。絶滅危惧種(奈良県鳥取県香川県)。情報不足(大分県)。

 

ツクバネウツギ(衝羽根空木)  スイカズラ科  ツクバネウツギ属

花5月―6月。白・黄白・黄。 ラッパ型・花冠は5裂・咢片5枚・花柄有り。2輪対で枝先に花が着く・花の長さ1.5‐3cm。雄蕊4本。花も葉も白い毛が密集。葉は卵形又は楕円形・葉身2-5cm。落葉広葉樹低木・樹高2m。日本の東北地方・関東・中部以西九州まで。山地や日向の草地に生育。絶滅危惧Ⅰ類(鹿児島県)。絶滅危惧Ⅱ類(大分県)。絶滅危惧種(宮崎県)。

スイカズラ科の何々ツクバネウツギという名前の植物で、絶滅に瀕しているものは上記のツクバネウツギを除いて以下の通り、7種類ある。

イワツクバネウツギ ・ オオツクバネウツギ ・ オニツクバネウツギ ・ キバナツクバネウツギ ・ コツクバネウツギ ・ タイワンツクバネウツギ ・  ベニバナノツクバネウツギ

上記の内2件をピックアップする。

イワツクバネウツギ 絶滅危惧Ⅰ類(茨城県群馬県・埼玉県・山梨県静岡県・愛知県・奈良県三重県和歌山県兵庫県山口県)。絶滅危惧Ⅱ類(栃木県・岐阜県徳島県愛媛県・福岡県)。絶滅危惧種(岡山県広島県高知県熊本県)。分布上重要(滋賀県)情報不足(福島県)。

コツクバネウツギ 絶滅危Ⅰ類(神奈川県)。絶滅危惧種(福島県・石川県)分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

ツクモグサ(九十九草)   キンポウゲ科  オキナグサ

花6月上旬。 淡黄緑色。高山植物絶滅危惧ⅠB類絶滅危惧種利尻島大雪山八ヶ岳など限定された狭い地域で生息。現在数百個体のみとされている。全有毒(ランクリン・プロトアネモニン・ヘデラゲニン・腹痛・胃腸炎・嘔吐・下痢・心停止)

翁草は有毒で絶滅危惧種です。自然を愛する茶人ならば採らずに保護しましょう。

 

ツユツバキ(梅雨椿)=ナツツバキ(夏椿)=シャラノキ(沙羅の木)=サラソウジュ(沙羅双樹)   →ナツツバキ参照

 

ツユクサ(露草)(鴨跖草(おうせきそう))(青花)(蛍草) ツユクサ科  ツユクサ

花6月-9月。青。花弁2枚・二枚貝の様な苞葉の中から蝶の様な花を出す。雄蕊6本・蕊は前方に蕊が突き出る。朝に開花し午後には萎(しぼ)む半日花。葉は卵状披針形・能く分枝する。繁殖力旺盛・茎は立ち上がるが高くはあがらず、途中から横に寝て伸びる・茎の長さ50cm。1年草。花の青色は水に容易に融けて消えるので、花弁を集めて染物の下絵に使われている。昔、摘んでも摘んでも生えて来るこの青花摘みの作業が過酷で、積み手達に「地獄花」とも呼ばれた事がある。今は大型の花を咲かす栽培変種のオオボウシバナが用いられている。食用可。生薬(生薬名(鴨跖草)・解熱・利尿・感冒薬・対浮腫・化膿止め)。ペット有毒。花言葉・懐かしい関係・尊敬・変わらぬ思い。

ツリガネソウ(釣鐘草)(カンパニュラ)(風鈴草)  キキョウ科  ホタルブクロ属

花5月―6月。白・ピンク・青・薄青・紫など。筒状花・釣鐘型・花冠浅く5-8裂・花冠の先は外側に丸く反り返る・有花茎は直立し、花柄は葉脈から盛んに出て、花は横又は上を向き、咲き競う。総状花序・草丈30-80㎝・多年草。原産地・南ヨーロッパ花言葉・親交・友情・感謝・誠実・節操。 → ホタルブクロ(蛍袋)(釣鐘草)参照。

 総状花序(そうじょうかじょ)とは、主軸が長く伸び、花柄のある花が、主軸の下部から上に向けて、間隔をあけて順次開花して行くタイプを総状花序と言う。総じて花の柄は下の花の方が長く、頭頂に行くにつれ花茎が短くなっていくが、花がドーム状になるほどではない。例:フジ・タチアオイ

 

ツリフネソウ(釣船草)(吊舟草)(ムラサキツリフネ)  ツリフネソウ科 ツリフネソウ属 

花7月-10月。 赤紫。花は舟を横長に吊り下げている様な形・花の長さ3-4cm。花弁3個・花弁3個のうち下の2個は唇弁で上の1個は山笠状の唇弁。咢片3個・咢片3個のうち袋状の咢が1個。花弁咢片とも赤紫色。葉腋から花柄を数本出し、花を吊り下げている。花には(きょ)がある。葉は卵形又は披針形。草丈40-80cm。 野山の湿地に群生・1年草。全有毒(ヘリナル酸・嘔吐・下痢・頭痛)。ペット有毒花言葉・安楽・私に触れないで下さい・心を休める・期待・詩的な愛・華麗。絶滅危惧Ⅱ類(徳島県愛媛県)。絶滅危惧種(鹿児島県)。

上記の外に、何々ツリフネソウという名前の絶滅に瀕している種が下記の通り2種ある。

エンシュウツリフネソウ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。絶滅危惧Ⅰ類(長野県・岐阜県・愛知県・福岡県)絶滅危惧Ⅱ類(静岡県大分県)。情報不足(熊本県)。

ワタラセツリフネソウ 絶滅危惧Ⅰ類(群馬県・埼玉県)。要注目(栃木県)。情報不足(茨木県)。

※ 距(きょ)とは、元の意味は鶏の蹴爪(けづめ)の事を指していた。スミレやオダマキなどの花冠の後ろに、蹴爪の様な突出した角(つの)があるので、それを模して距と名付けた。距は蜜壺である。

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テッセン(鉄線)(風車)(クレマチス) 5―7 キンポウゲ科 センニンソウ

花5月-6月。 乳白色。花弁6枚・但し一見花弁に見える6枚は何(いず)れも咢片である。 花径5-8cm。雄蕊の花糸は白で先端は濃紫・雄蕊は花の中心で円陣状に多数叢出。葉は卵形・鋸歯無し(全縁)・葉は1~2回3出複葉・葉腋から花柄を出して花を着ける。テッセンは中国原産・因(ちな)みにクレマチスはテッセンとカザグルマを掛け合わせて出来た園芸品種・園芸品種の花色はバラエティーに富んでおり、開花期も長い。生薬(生薬名・威霊仙)。有毒(プロトアネモニン等・皮膚炎・水膨れ・嘔吐・よだれ等)。ペット有毒。  

※ 全縁(ぜんえん)とは、葉の縁にギザギザの鋸歯が無い葉の事を言う。例:ハスの葉・サカキの葉。

※ 3出複葉(さんしゅつふくよう)とは、葉柄の先端に小葉が1枚、その両脇に2枚の小葉が着いた状態を言う。1回~2回と言うのはそれが1回で終わりか、2回繰り返されるか、と言う事。

→ブログ№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)の、カザグルマクレマチスの条を参照

 

デルフィニウム キンポウゲ科 ヒエンソウ属(デルフィニウム属) 

花5月-6月。白・ピンク・青・紫・複色。 花を穂状に密に付け、華やかな印象があるが、花弁の様に見えるものは咢・花弁は花の中央に見える白い小片が花。多年草・草丈20-150cm。原産地・ピレネー山脈・アルプス・チベット・シベリア・中国など寒冷地を好む傾向が有る。日本では夏越しが出来ないので一年草扱い。全有毒(デルフィニジン・激しい嘔吐・下痢・筋力低下・痙攣・徐脈・心不全・呼吸麻痺・重篤の場合は致死)。ペット有毒(デルフィニジン・嘔吐・下痢・発熱・呼吸困難・意識障害)。花言葉清明・高貴。

 

トウダイグサ(灯台草)(沢漆)(漆柳)   トウダイグサ科  トウダイグサ

花4月—6月。黄緑。荒地などにどこにでも生える。多年草・草丈10-40㎝。切ると白い汁が出る。葉は倒卵形・葉身1-3cm。茎の先端に5枚の葉を輪生し、その中心から5本の短い枝を出す。更にその枝の先端にそれぞれ3枚の小葉を着ける。3枚の小葉の合着点から更に短い葉柄を出して更に小さな小葉を3枚出し、花を包み紙で包む様に、更に緑色の総苞で花を守っている。葉に細かい鋸歯が有る。 灯台草の灯台は海を照らす灯台では無く、室内照明用の燈明台・灯火皿の事。 全猛毒(ユーフォルビン・テルペノイド・リシン・リチニン・嘔吐・下痢・痙攣・経口ばかりでなく触れても皮膚吸収され、化学熱傷や重度の皮膚炎を引き起こし、目に入れば失明する。暗殺に用いられたり、生物兵器として利用されたりする)。ペット有毒。花言葉・控えめ・地味・明るく照らして。 

絶滅危惧Ⅰ類(山形県)。絶滅危惧種(岩手県富山県福井県鳥取県)。

 

ドクセリ  セリ科 ドクゼリ属

花6月-7月。白。複散形花序(ふくさんけいかじょ)。葉は2-3回羽状複葉・小葉長楕円状披針形・葉身3-8㎝。鋸歯有り。茎は中空。地下茎は太く、タケノコの様な短い節がある。

多年草。草丈60‐100㎝。全猛毒(ポリイン化合物(シクトキシン・ピロール)中枢神経興奮作用・嘔吐・下痢・腹痛・目眩・動機・耳鳴・意識障害・呼吸困難・致死)。ペット有毒。ドクセリは背丈が大きく食用のセリは背丈が低い。但し、春先はドクゼりも背丈が低く間違えやすい。また、根茎はワサビに似るが、ワサビには独特の香気がある。花言葉・あなたは私を死なせる。死も惜しまず。切実な思い。

 散形花序(さんけいかじょ)とは、茎や枝の先端から放射状に花柄を伸ばして花を咲かせるタイプ。例:サクラソウ・ネギ・ヤツデの花。

 複散形花序とは、散形花序が幾つか集まったもの。

 

ドクダミ()  ドクダミ科  ドクダミ

花5月-8月。白。花弁に見えるのは4枚の苞(ほう)である。苞の真ん中から穂状花序が出て、そこから密集して雄蕊と雌蕊が直接出る。花弁は無い。葉はハート形。多年草。アセトアルデヒト独特の臭いがあり、日陰の湿った土地に生える。繁殖力が強い。東アジアから東南アジアに分布。臭気があるので茶花には向かないとされてきたが、近頃では臭いのないものがある。「毒」の名を冠しているが、無毒である。 (デカノイルアセトアルデヒト・ラウリルアセドアルデヒト・クエルセチン・等々。利尿・緩下作用・高血圧・動脈硬化予防・抗炎症・鎮静・駆虫・湿疹・かぶれ・ニキビ・虫刺され等々)。副作用(高カリウム血症・GOT & GPT上昇・肌荒れ)。食用。 花言葉・野生・自己犠牲・白い追憶。

 

ドクニンジン セリ科 ドクニンジン属

花7月-9月。白。全猛毒(コニイン・コニセイン・悪心・嘔吐・流涎・昏睡・致死)。ギリシャの哲学者・ソクラテスの毒杯はこのドクニンジンによる。ペット有毒(コニイン・神経毒・筋弛緩作用・呼吸困難・窒息)。 花言葉・あなたは私の命取り・あなたは私を死なせる。死も惜しまず。死をも惜しまない人。

 

トコロ(野老)  ヤマイモ科  ヤマイモ属

花7月-8月。淡緑色。花弁5―6枚。花径3.5-4㎜。葉腋から長い穂状花序を出す・雄花の花序は斜上し、雌花の花序は下垂する。雌雄異株。葉は心臓形(ハート形)・根は肥えて塊(凝(こり→とこり→トコロ)ができ、山芋の様になる。根に髭根が沢山あり、それが老人の髭を思わせるので野老の字を当てての名前である。腰が曲がっているから「海の老い」と書いて海老(えび)としたようなもの。長寿を愛でて正月飾りにするところもある。葉は互生・(因みに山芋(=ジネンジョの葉は対生)・葉身5―12㎝。 蔓は右巻き・茎は伸長し、ものに巻き付く。根は毒抜処理したならば食用可だが、念入りに処理しても猛烈に苦いそうである。全有毒(ジオスチン・ジオスゲニン・シュウ酸カルシウム・口内の痺れ)。生薬(生薬名(菟薢(ひかい))ジオスチン・プロトジオスチン・グラチリン・効能はリウマチ・関節痛・疼痛・尿毒症・排尿困難・混濁尿・湿疹)(副作用・胃や腸がただれる)。ペット有毒花言葉・子沢山。環境省カテゴリ絶滅危惧・絶滅危惧Ⅰ類(鹿児島県)。

 

トチバニンジン(栃葉ニンジン)(竹節人参(チクセツニンジン))  ウゴギ科 トチバニンジン属

花6月-8月。白。花弁5枚・雄蕊5個・花柱2個・花径3㎜。有花茎先端に散形花序で花開く。葉は掌状複葉・小葉は倒卵形または長楕円形で葉先が窄まり、茎の中間や上方で輪生(りんせい)する。果実は秋に6㎜位の真っ赤な球の集団になって熟す。草丈50-80㎝。多年草生薬(生薬名は竹節人参・鎮咳・去痰・解熱・健胃・抗炎症)。林間の湿った腐葉土に生育。絶滅危惧種(千葉県・佐賀県・鹿児島県)。

 輪生(りんせい)とは、茎の軸または枝の軸の一か所から、数枚の葉が軸を取り囲む様に出葉して、円陣を組んでいる様な葉の事を言う。

 

トモエソウ(巴草)  オトギリソウ科  オトギリソウ属

花7月-9月。黄。花弁5枚・花弁が扇風機の羽根の様に捻(ね)じれている・散房花序(さんぼうかじょ)・有花茎で直立・分枝する。葉は長楕円形又は披針形で対生(たいせい)。50‐130㎝。山地や河川敷などに生育。北海道から九州・東北アジアに分布。 絶滅危惧Ⅰ類(東京都・富山県福井県京都府大阪府香川県山口県・福岡県・佐賀県大分県長崎県熊本県・鹿児島県)。絶滅危惧種Ⅱ類(山形県新潟県・千葉県・埼玉県・滋賀県奈良県徳島県高知県島根県)。絶滅危惧種(栃木県・鳥取県)。情報不足(愛媛県)。

上記トモエソウの外に同属での絶滅危惧種は下記の2種がある。

コウライトモエソウ  環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)・絶滅危惧1類(長崎県熊本県大分県・鹿児島県)。

ヒメトモエソウ  情報不足(福島県)。

※ 散房花序(さんぼうかじょ)とは、主軸に間隔を詰めて花柄のある花が着き、主軸の下部から上に向けて、順次開花して行く。その時の花柄は下の方が長く、上に行くにつれて花柄が短くなり、全体的に花の位置が水平に近くなる、或いはドーム状に盛り上がる。例:オミナエシコデマリ

※ 対生(たいせい)とは、葉が対(つい)の2枚で、茎の同じ箇所から向き合って着いている状態の事を言う。←→ 互生(互い違いに着く)。

 

ドヨウフジ=ナツフジ  ナツフジ参照。

 

トラノオ(虎の尾)(サンスベリア)   キジカクシ科  ドラセナ属

多肉観葉植物。葉に黒味を帯びた濃緑色の横段縞がある。花期 ? (稀に咲く)。花は白。花茎の上方に糸くずを束ねた様な花を穂状花序で着ける。花は夜開花・芳香有り。葉は肉厚の葉物。原産地・アフリカの乾燥地帯。乾燥に強い。無毒説と有毒説が混在。要は摂取量の多少に依るようである。ペット有毒(サポニン・胃腸障害・吐気・嘔吐・下痢)。 花言葉・永久・不滅・幸福・開運。→ サンスベリア参照(前回ブログ№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)でも同文で記載している)。

 

トリカブト キンポウゲ科 トリカブト

花夏~秋。紫・稀に白や淡黄色・ピンク。 山野草。湿り気の多い沢筋などに生育。多年草。草丈80‐120㎝。全猛毒(日本三大毒草の一つ)(アコニチン・メサコニチン・アコニン・ヒパコニチン・口唇や舌の痺れ・手足の痺れ・嘔吐・腹痛・下痢・不整脈・血圧低下・痙攣・呼吸不全・心室細動・致死)。 経口摂取だけでなく、経皮吸収(皮膚から直接体内に浸透)もある。蜜や花粉にも毒性がある。ニリンソウと間違えてお浸しにして摂取して中毒を起こす事例が毎年のようにある。死亡事故も有り。矢毒に使われていた。 ペット有毒(人に有毒なので、体重の小さいペットではそれ以上にダメージが大きい)。 漢方薬(烏頭(うず)・附子(ぶす)(狂言の演目「附子」はこれから来ている」))。  花言葉・復讐。       

 

トロロアオイ(黄蜀葵(おうしょくき)) アオイ科 トロロアオイ属(アベルモスクス属)

花8月-9月。淡黄。花の中央奥の蕊の周りが濃紫。花弁5枚・花は横を向いて咲く。花径10-20㎝・朝咲いて夜落花の一日花。葉は掌状・葉は5―9裂する。樹高1.5m。根から粘液を取り出し「ネリ」と言う糊を作る。これを和紙のつなぎに使う。実はオクラに似て食用可だが不味い。花は食用可。生薬(根・花・葉・種子)(生薬名・黄蜀葵根(おうしょくきこん)・黄蜀葵花(おうしょくきか)・黄蜀葵子(おうしょくきし)・効能は鎮咳(ちんがい)・緩やかな下剤・口内炎扁桃腺炎・湿布・火傷・乳汁不足・打撲症)。

トロロアオイの種属で、絶滅危惧の種が下記の1種がある。

センカクトロロアオイ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠA(CR)。絶滅危惧Ⅰ類(沖縄県)

 

ナツギク(夏菊)         キク科  キク属

ナツギクは夏に咲くキク科キク属の内、イエギクの種類の総称で、ナツギクと言う固有名詞を持つキクは無い。

秋咲の菊と違う点は、秋咲きの菊は日照時間が短くなると蕾(つぼみ)に開花スイッチが入るのに対し、夏菊は温度の上昇によって開花スイッチが入る点である。野生種には、温度によって開花スイッチが入るものは無い。ナツギクは江戸時代に盛んに行われていた菊の栽培の中、突然変異で短日性に依らないキクが現れた。それによって姿や形の性質の違いの品種改良の道が開かれて、今日に至っている。花の色・白・ピンク・オレンジ・黄・赤・緑・複色。いずれも園芸品種である。草丈20-70cm。温度によって開花スイッチが入ることによって、温室等の温度管理が自在にできる様になり、お蔭でキクは一年中手に入る花になっている。

 

ナツフジ (夏藤)(土用藤)  マメ科  ナツフジ属

花7月-8月。淡黄白色。花の形はフジと同じく蝶形・総状花序の花房を10-20㎝位垂らす。 奇数羽状複葉。小葉卵形で葉身は2-6㎝。蔓性で何かに巻き付いて登る。巻き方は左巻き。日本固有種。全有毒特に花と豆とサヤ(レクチン・吐き気・頭痛・目眩・胃腸炎)。毒抜きの下処理をすれば食用可。花言葉・優しさ・歓迎・決して離れない。絶滅危惧Ⅱ類(茨城県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

 ナツツバキ(夏椿) )(シャラ(沙羅))(シャラノキ(沙羅木))(サラソウジュ(沙羅双樹))  

ツバキ科  ナツツバキ属   ★印利休7選花の一つ

花6月-7月。 白。 花弁5枚・花径5-6cm。葉腋に上向きに咲く。朝開花し夕方落下する一日花である。葉は倒卵形で葉先は尖る・葉身4-12cm・互生・落葉広葉樹・樹高10-20m。深山の谷あいに自生・湿潤で涼しい所を好む。原産地・日本から朝鮮半島花言葉・愛らしさ。

絶滅危惧Ⅰ類(神奈川県)絶滅危惧Ⅱ類(宮城県和歌山県佐賀県・鹿児島県)。絶滅危惧種(香川県)。地域個体群(新潟県)。

余談

お釈迦様はご自分の死期を悟ると、生まれ故郷のルンビニーへ向かいましたが、途中ヒマラヤの麓にあるクシナガラで食中毒でお倒れになりました。お釈迦様は沙羅の樹の下で弟子達に、自身は奇跡を起こす特別の人ではなくまさしく人間であり、死ぬ定めをもったものである事を眼前に見せて「法をよりどころにしなさい、自らを拠り所にしなさい」と教え、諸行無常を説いたと言われております。そして、「一切衆生悉有仏性(一切の衆生、ことごとく仏性有り)」と仰り、静かに横たわって入滅したと伝え聞いております。その時にお側に在った二本の沙羅の樹は、お釈迦様入滅の時の聖樹沙羅双樹として長く語り伝えられております。この聖樹を日本にも植えたい、と思う僧がいましたが、実際には日本の気候では育たず、その代りに一日花の白い椿を、命の儚さを伝える諸行無常の花として選び、これを沙羅の樹と伝えました。それが定着し、今ではお寺の庭に良く植えられる様になっています。

→ブログ№199茶花総覧(4)  夏(あ行~さ行)の内、サラソウジュを参照の事。

 

ナツノタムラソウ(夏の田村草)  シソ科  アキギリ属

花6月-8月。青紫。花径8-10㎜。花は横向きに着く。唇形花(しんけいか)・上弁の外側に毛が生えている。雄蕊は花冠を突き出る。花は花軸に輪生し段を作って咲く。花穂の長さ10-20㎝。穂状花序・葉は対生・1~2回奇数羽状複葉・小葉卵形or菱形・小葉は菊の葉状の切れ込み(鋸歯)有り・草丈20-70㎝。茎にも毛有り。多年草。林縁の草地や道端あぜ道などに生育。日本在来種。花言葉・善良。

絶滅危惧Ⅰ類(東京都・三重県兵庫県高知県)。絶滅危惧Ⅱ類(神奈川県・奈良県大阪府)。絶滅危惧種(滋賀県京都府)。情報不足(長野県)。

ナツノタムラソウと同じシソ科のアキギリ属で、何々タムラソウという種は他にも幾つか有る。その内の代表的なものを以下にピックアップする。

 

シソ科田村草① アキノタムラソウ(秋の田村草) 花7月-11月。青紫。唇形花。穂状花序・葉は卵形・花や咢や茎に毛と腺毛(せんもう)が密集。葉は草丈20-80㎝。林縁部や草原、道端などに生育。絶滅危惧種(宮城県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

シソ科田村草② ウスギナツノタムラソウ(薄黄夏の田村草)(黄花夏の田村草) 花6月-8月。淡黄色。唇形花冠・穂状花序・夏の田村草の母種。奇数羽状複葉・葉に鋸歯有り。絶滅危惧1類(奈良県)。絶滅危惧種(三重県)。

 

シソ科田村草③ ケナツノタムラソウ(毛夏の田村草) 花6月-8月。 極淡紫色(≒白)。唇形花・花冠の内側と外側に毛が有る。穂状花序・奇数羽状複葉・草丈25‐50㎝。 絶滅危惧1類(山形県)。絶滅危惧Ⅱ類(秋田県)。絶滅危惧種(岩手県)。

 

シソ科田村草④ ハルノタムラソウ(春の田村草) 花4月—6月。白色・咢は赤紫・唇形花・咢も唇形。花茎は直立・全体的に小振り・草丈10-20㎝。 絶滅(香川県)。絶滅危惧1類(徳島県愛媛県)。絶滅危惧種(奈良県)。要注目種現状不明(静岡県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

シソ科田村草⑤  シマジタムラソウ(島路田村草) 花7月-9月。淡青紫色。唇形花。草丈10-60㎝。東海地方のみに分布。伊勢神宮神域内の島路山で発見。環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)。絶滅危惧Ⅰ類(三重県)絶滅危惧(静岡県)。絶滅危惧種(愛知県)。

※ 唇形花(しんけいか)とは、シソ科に見られる特徴的な形の花を言う。花弁が合着して筒状になり、筒先が大きく上下に割れる。下の裂片は唇を突き出す様に前に出ており、上の裂片はそれに被さっている。

※ 腺毛(せんもう)とは、植物に生えている特殊な毛である。単なる毛では無く、毛先に丸い器官があり、そこから植物の液が出ている。

 

ナツハギ(夏萩)  マメ科  ハギ属

ナツハギという固有名詞を持つハギは無い。夏に咲く萩と言う意味で、お茶の世界で通用している。開花を始めてから最盛期を迎え、終焉期に至るまで季節の幅が有るので、どれをナツハギと言うのか分からない。生育の環境によっても時期がズレるであろう。高原か平地の野原か、東北地方なのか九州なのか、条件が違えばが花期も違って来る。取り敢えず花の時期を書いてはいるが、条件を考えると当てにならない事おびただしいので、下記に記した期間は凡その目安、として捉えて欲しい。夏から秋にかけて咲く萩の名前を下記に列挙する。

ヤマハギ (木)   マメ科 ハギ属 花6-9月 紅紫 枝垂れる

ミヤギノハギ (木) マメ科 ハギ属 花6-9月 紫紅・蝶花  枝垂れる。

ミヤギノハギについは、秋の項で改めて取り上げる予定。

イヌハギ (木)      マメ科 ハギ属 花8-9月 黄色~白色・蝶花  直立

メドハギ (草)      マメ科 ハギ属 花8-10月  淡黄色・蝶花 直立・叢立ち

ネコハギ (草)   マメ科 ハギ属 花9-10月   白~黄白色・蝶花 匍匐(ほふく)

ナンテンハギ(草)  マメ科 ソラマメ属  花6-11月 青紫~赤紫・蝶花  直立

ヨツバハギ(草)   マメ科 ソラマメ属 花7-10月  青紫・蝶花 つる性

ノハギ      植物名としては見当たらず。

茶花の中に野萩という名前があり、調べてみたが該当するものは無かった。多分、野原に咲く萩という括りで出ていたのであろう。でなければ、野趣あふれる萩という意味か・・・

上記の内で最も絶滅の危機が切迫しているのがイヌハギである。

イヌハギ 花7月-9月。白。蝶形花・総状花序・花序は枝垂れず、ルピナスの様に立つ。環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)。絶滅危惧Ⅱ類(福島県・栃木県・群馬県・東京都・静岡県滋賀県三重県奈良県京都府大阪府徳島県愛媛県高知県・福岡県・佐賀県熊本県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(岩手県山形県茨城県・千葉県・神奈川県・埼玉県・新潟県富山県・愛知県・和歌山県鳥取県広島県山口県大分県・鹿児島県)。絶滅危惧種(秋田県宮城県岐阜県兵庫県岡山県香川県)。情報不足(石川県)。留意種(長野県)

 

ナツユキソウ(=キョウガノコの色違い)  バラ科  シモツケソウ属

花6月-7月。白(キョウガノコの色違い)。花弁4-5枚。花径5‐6㎜。雄蕊は花弁をはみ出す程長く突き出す。複散房花序。葉は掌状形で深く5~7裂する・葉柄長い・葉身およそ20㎝。草丈60-100㎝。林間の半日陰で少し湿った場所を好む・山野草。原産国・日本。ナツユキソウの花色がピンクの品種を「キョウガノコ」という。

前回ブログ№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)のキョウガノコで既出。内容は当条と同じ。

 

ナデシコ(撫子)(ダイアンサス)   ナデシコ科 ナデシコ属(ダイアンサス属)         

ナデシコ科・ナデシコ属の内、今迄に記載した種は下記の4種がある。

カーネーション 

11月から5月まで花の出荷量は最盛期で、花色や形も多様である、と紹介したのが、blog№197茶花総覧(2)春(あ行~さ行)の内、カーネーションの条。(←参照の事)

カワラナデシコ 

7~10月頃、川原などに咲く淡紅色の五弁の花で、生薬にもなる絶滅危惧の花と紹介したのが、bog№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)の内、カワラナデシコの条。(←参照の事)

エゾカワラナデシコ 

カワラナデシコの条の下に並んで記載し、絶滅危惧種であると紹介したのが、bog№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)の内、カワラナデシコの条。(←参照の事)

セキチク 

花は4~7月。花の中心に蛇の目模様がある。分枝した茎の先に花が咲く、生薬になる、と紹介したのが、bog№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)の内、セキチクの条。(←参照の事)

 

ナデシコの季語は秋である。昔から秋の七草と言われている。しかし、実際の開花は夏から始まっているものが多い。俳句の季語と実際とではずれが有る。

上記4種の外に良く知られているナデシコに下記の様な種が有る。

 

アメリナデシコ(ヒゲナデシコ)(ビジョナデシコ)

花3月-7月・9月-10月。赤・ピンク・白・複色など。苞の先端が髭の様に長い。日当たりが好き。花弁の縁がギザギザ。草丈10‐30㎝。1年草。多年草

 

シナノナデシコ(信濃撫子)(深山撫子(ミヤマナデシコ)) 

花7月-8月。紅紫。花弁5枚・花径2㎝。花弁の縁のギザギザは川原撫子より浅い。葉は線形で対生。分岐の茎頂より2輪が咲く。絶滅危惧Ⅱ類(新潟県・石川県)。

 

タカネナデシコ

花7月-9月。桃紫色。花弁5枚・花の縁は深裂。花径4—5㎝。草丈15-40㎝。高山植物絶滅危惧Ⅱ類(岩手県宮城県山形県福井県)。絶滅危惧種(秋田県福島県)。

 

ヒメナデシコ(姫撫子)(乙女撫子)

花5月-6月。ピンク・紅紫。花に蛇の目模様有り・花径1.5‐2㎝。茎頂にまとまって咲く。草丈10-45㎝。葉は線形。株立ちする。アメリナデシコの交配種。

 

ヒメハマナデシコ(姫浜撫子)

花6月-10月。淡紅紫色。花弁5枚・花弁の縁のギザギザは浅い・花弁に赤紫の斑点が有り。茎頂に固まって咲くが姫撫子よりまばら。海岸などで生育。絶滅危惧Ⅰ類(和歌山県・宮崎県・沖縄県)。絶滅危惧Ⅱ類(大分県熊本県)。

 

ハマナデシコ(浜撫子)(フジナデシコ(藤撫子))

花6月-11月。淡紅紫。花弁5枚・花弁の縁のギザギザは浅く小さい。花径1.5㎝。

海岸の崖や砂地に生育。日本固有種。 絶滅危惧Ⅰ類(岩手県新潟県)。絶滅危惧Ⅱ類(石川県・京都府島根県)。絶滅危惧種(福島県茨城県・千葉県・福井県・鹿児島県)。情報不足(富山県滋賀県)。

 

ナナカマド(七竈)  バラ科  ナナカマド属 

花5月-7月。白。花弁5枚・花は水平に開く。花は梅鉢紋に似ている。花径5㎜。それらが集まって大きな花の集団を作る。複散房花序。葉は無毛・葉身15‐25㎝・奇数羽状複葉・小葉は披針形or長楕円形・鋸歯有り・紅葉が美しい。果実も真っ赤で見ごたえがある。亜高山帯に生育し、秋には山を真っ赤に彩る絶景を創り出す。落葉広葉樹。材質が堅い。有用材(良質の炭が出来る)。花言葉・慎重・賢明・私はあなたを見守る。

 

ナルコユリ(鳴子百合)  キジカクシ科(クサスギカズラ科)  ナルコユリ属(アマドコロ属)

花5月-6月。 白。 花は細長い釣鐘状・花長は20㎜前後・花径7-10㎜。 花は茎から下垂する。茎の断面は丸く、1本立ちの有花径・草丈50‐130cm。枝垂れる。葉は披針形で互生・葉腋毎に1本の花柄を出す。花柄は途中で分枝・分枝の先ごとに花を着ける。1葉腋に3-8個の花が下がる。果実は1㎝の球形で青紫黒・山地や草原の日陰に生育。多年草。本州・四国・九州に分布。食用可。注意:毒草ホウチャクソウと激似なので誤食による中毒発生頻繁。花言葉・懐かしい音・元気を出して・あなたを偽れない・小さな思い出・心の痛みの分かる人。絶滅危惧種(鹿児島県)。情報不足(宮城県)。

ナルコユリと同じキジカクシ科の何々ナルコユリという種で、ナルコユリと同じく絶滅の危機に有るのが下記の4種である。

オオナルコユリ  絶滅危惧1類(東京都)。分布特性上重要な種(鹿児島県)

ヒュウガナルコユリ  絶滅危惧1類(長崎県)

ホソバナルコユリ  絶滅危惧Ⅰ類(鹿児島県)

ミヤマナルコユリ  絶滅危惧Ⅰ類(高知県熊本県・宮崎県・鹿児島県)。 絶滅危惧Ⅱ類(愛媛県佐賀県)。 

 

ナンテン(南天) メギ科 ナンテン属 

花5月-6月。 黄白色。円錐花序。雄蕊は黄色。果実赤11月‐12月。白い果実の種も有り。小葉は広披針形・葉は3回3出羽状複葉。常緑広葉樹低木・樹高1-3m。株立ち。原産地中国。日本では関東以西九州迄生育。南(難)を天(転)ずると言う意味で縁起物の木とされ、庭木などに良く栽培されている。また、殺菌目的で赤飯や魚料理などに南天の葉を添える。弱有毒(特に実)(ドメスチン・ナンテニン・ヒゲナミン・ナンジニン・大量経口摂取により意識障害・痙攣・呼吸麻痺)。生薬(南天実)(鎮咳・鎮痛・殺菌薬)&(南天葉)(ベルベリン・マグノフロリン・健胃・解熱・防腐・殺菌)。花言葉・私の愛は増すばかり・良い家庭・福をなす。

なお、鹿児島県ではメギ科のナンテン分布特性上重要な種に指定している。

 

ナンテンハギ(南天萩)(アズキナ)(フタバハギ)(タニワタシ)  

                      マメ科  ソラマメ属

花6月-10月。紅紫・青紫。蝶形花。葉腋から花の茎を出す。総状花序。葉は卵形・葉身4—7cm。小葉は2枚。但し、頂小葉は退化して小さな突起になっている。巻きひげは無い。茎は叢立(むらだ)ち、直立・茎は角張って稜がある。茎が長くなると周りの草にもたれかかる。豆の莢(さや)は約3㎝。草丈30-60cm。食用可。山野草花言葉・思案・内気。絶滅危惧Ⅱ類(秋田県山口県)。絶滅危惧種(京都府奈良県・鹿児島県)。

マメ科で何々ナンテンハギとつく名前で、絶滅に瀕しているものが他にも下記の1種ある。

クマガワナンテンハギ  絶滅危惧Ⅱ類(鹿児島県)

 

ニガクサ(苦草)  シソ科  ニガクサ属

花7月-9月。 白・淡紅・淡紫。 花冠は上下に割れて5裂(上は2裂・下は3裂)・上唇は手を重ねた様に2枚重なっている。下唇は幅広く大きい・下の脇唇2枚は小さくて目立たない。花は筒状の咢に入っている。雄蕊4本。雄蕊は上唇弁2枚の合わさり口から外に突き出している。茎の先端に穂状花序を成す。花序の長さ3-10㎝。一つ一つの花は小さい。葉は長楕円形~卵状披針形。対生する。鋸歯あり。茎は角ばっている。4稜。草丈30-70㎝。1年草又は多年草絶滅危惧2類(鹿児島県)

シソ科ニガクサ属の中で何々ニガクサとつく名前で、絶滅に瀕しているものが上記の外に5種ある。

イヌニガクサ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠA類(CR)。絶滅危惧Ⅰ類(青森県秋田県山形県宮城県群馬県・長野県)。情報不足(岩手県)。

エゾニガクサ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。絶滅(佐賀県)。絶滅危惧Ⅰ類(宮城県山口県・福岡県)。情報不足(茨城県・長野県)。

コニガクサ 分布特性上重要な種(鹿児島県)。

ツルニガクサ 準絶滅危惧種(鹿児島県)

テイネニガクサ 環境省カテゴリ準絶滅危惧(NT)。絶滅危惧Ⅰ類(山形県鳥取県)。絶滅危惧Ⅱ類(宮城県福島県群馬県)。絶滅危惧種(北海道・青森県・栃木県・長野県)。留意種(秋田県)。情報不足(岩手県)。

 

ニシキウツギ(二色空木)  スイカズラ科  タニウツギ

花5月-6月。 咲き始めは淡黄白で後に紅色に変化。名前の由来は花の色が二色に変化するから。花はラッパ型。花冠5裂・雄蕊5本・葉腋から2-3輪の花を着ける。下向きに咲く。  葉は対生・広楕円形・株立ち・落葉広葉樹低木or中木。日本固有種・宮城県以南~九州の太平洋岸の山地に生育。落葉広葉樹低木。樹高2-5m。花言葉・愛らしい・華やか・美しい。

絶滅危惧Ⅱ類(熊本県・宮崎県)。絶滅危惧種(兵庫県岡山県・鹿児島県)。地域個体群(新潟県)。

 

ニチニチソウ(日日草)(ビンカ) キョウチクトウ科 ニチニチソウ

花5月―11月。白・赤・ピンク・紫。一重咲。花径3-4㎝・合弁花・基部は筒状・花冠は深く5裂し、一見5弁の花に見える。一年草。葉は長楕円形・草丈10~80cm。マダガスカル原産。全有毒(ビンカアルカロイド含有・細胞分裂阻害作用・脱毛・嘔吐・下痢・心機能障害・痙攣・筋肉麻痺)。薬用(ピンクリスチン・ピンブラスチン・抗癌剤)。 ペット有毒。  花言葉・生涯の友情・優しさ・わかい友情。

 

ニッコウキスゲ (日光キスゲ)(=ゼンテイカ(禅庭花))  

    ワスレグサ科(ツルボラン科)(ススキノ科)(ユリ科) ワスレグサ属

ニッコウキスゲゼンテイカ(禅庭花)は同じものである。ブログ№199茶花総覧(4)  夏(あ行~さ行)の項で、ゼンテイカを取り上げている。以下はゼンテイカの条で記載した内容と同文である。(再記載。一部省略)

花7月-8月。橙黄。(略)。実はこれがニッコウキスゲの本名である。日光観光アピールの花として有名になり、今や本名よりニッコウキスゲの方が有名になっている。花の形はユリに似る。花弁6枚・その内3枚は咢片が変化したものである。ラッパ型。花径10㎝。朝開花して夕方しぼむ1日花である。花茎の頭頂に数輪の花を密集させて咲く。花茎は葉よりも背が高い。花茎の高さは60‐80㎝。葉は広線形・葉は扇状に行儀よく左右に開き束生。尾瀬や日光の霧降高原の群落が有名だが、ゼンテイカは日本の各地に分布している。本州中部地方~東北地方の高山帯、寒冷地に行くにつれて低地でも分布し、北海道では海岸でも咲いている。

天然記念物  磐梯朝日国立公園(福島県)雄国沼湿原植物群落

天然記念物  福島県昭和村と南会津町間にある駒留湿原

天然記念物  長野県八ヶ岳中信高原国定公園内の霧ケ峰三湿原

特別天然記念物 尾瀬

絶滅危惧Ⅰ類(愛知県・島根県)。絶滅危惧Ⅱ類(埼玉県・東京都・滋賀県)。絶滅危惧種(茨城県山梨県福井県)。要注目種(京都府)。

 

ニワフジ(庭藤)(岩藤)  マメ科  コマツナギ

花5月-7月。紅紫色。花の形はマメ科らしく蝶形をしている。葉腋(ようえき→葉のわき)から花軸を出し、総状花序で花を咲かせる。葉は長さ~25㎝位の葉軸に楕円形の小葉が対生して連なり(羽状)、葉柄の頭頂に一枚着いて奇数複葉。落葉広葉樹低木・樹高30-100㎝。川岸の岩場などが生息域。日本原産。花言葉・恋に酔う・歓迎・しなやかな体。

絶滅危惧Ⅰ類(群馬県徳島県長崎県)。絶滅危惧種(三重県)。要注目種(福井県京都府)。情報不足(鹿児島県)。

 

ヌマトラノオ(沼虎の尾)  サクラソウ科  オカトラノオ

花7月-8月。 白。花冠は深く5裂・一見5枚の花弁に見える。雄蕊5本・花径5―6㎜・小さい花を一杯つける・総状花序。花序の長さは10-20㎝。葉は長倒卵形・葉身4—7㎝。葉は互生・葉の基部は窄(すぼ)まっている。鋸歯無し(全縁)。有花径は直立。湿地などの湿った土地が好き。群生する。花言葉・平静・思いがけない・優しい風情。

絶滅危惧Ⅰ類(長崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(東京都・神奈川県・大分県)。絶滅危惧種(埼玉県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

サクラソウオカトラノオ属で、何々ヌマトラノオと言う名前で絶滅に瀕しているものが、上記の外に1種ある。

佐賀平野ヌマトラノオ 地域個体群(佐賀県)

  

ネジキ ツツジ科 ネジキ属

花6月。白。花は紡錘形(細身の鈴蘭の花に似ている)。前年枝の葉腋から花茎を出し2列縦隊または1列縦隊で花が着く・花冠5裂。花の長さ1㎝。総状花序。葉は広卵形か卵状楕円形・葉身5-10cm・ふちに鋸歯は無い。樹皮に裂け目が入り、成長すると幹がねじれる。落葉広葉樹低木~小高木。岩手県以南の本州・四国・九州に分布。全有毒(アンドロメドトキシン・リオニアトキシン・嘔吐・痙攣・四肢の麻痺・知覚過敏・起立不能・全身麻痺)。ペット有毒(テルペノイド(グラヤノトキシン)・牛の重量の1%の量で、牛致死)。 絶滅危惧種(岩手県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

ネジバナ(捩花)(モジズリ)(ネジリバナ)(ヨジリンボウ)  ラン科  ネジバナ

花4月-9月。ピンク。蘭の特徴の背咢片1・側花弁2・側咢片2・唇弁1が揃っており、虫眼鏡で見なければ分からない程小さい花だが、ネジリバナは歴としたランである。唇弁は白。花茎は直立・花は螺旋を描きながら花茎を登って開花して行く。穂状花序。葉は根元に数枚つける(根出葉)。葉の形は長楕円形。芝生や背の低い草地の日当たりを好む。花言葉・思慕。

ネジバナの仲間で絶滅の恐れのあるのは下記の1種である。

ナンゴクネジバナ 絶滅危惧Ⅱ類(鹿児島県)。

 

ネムノキ(合歓木)  マメ科  ネムノキ属

花6月-7月。淡紅色。花は筒状・花一つは極めて小さいが雄蕊が長く突き出しているので目立つ・枝先に頭状花序を成す。筒状の花は無数に立ち上がる雄蕊の花糸に隠れて見えず・薄紅の穂で樹冠を飾る。葉は偶数複葉。朝になると葉が開き、夜になると葉を閉じて眠る。落葉広葉樹中高木。中近東・中国南部から朝鮮・日本に自生。山野や原野などに生育。花言葉・胸のときめき・歓喜・夢想・安らぎ。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

この外に同科同属の何々ネムノキと言う種で、絶滅の恐れがある種は下記の2種である。

オオバネムノキ 絶滅危惧Ⅰ類(宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(鹿児島県)。絶滅危惧種(長崎県)。

ヤエヤマネムノキ 絶滅危惧Ⅰ類(沖縄県)。

 

ノアザミ(野薊)  キク科  アザミ属

ノアザミは固有名詞では無くアザミ属の総称。

花5月―8月。紅紫・紫・薄紫・白。筒状花(とうじょうか)(=管状花(かんじょうか))の小さな花が集まって、茎の頭頂にある花床(かしょう)に咲く。頭状花序(とうじょうかじょ)・雄蕊が花冠から長く突き出している。一見ボサボサの筆の穂である。

花の集合体の直径は4—5㎝。それ等を包む総苞(そうほう)は壺型で緑色。うろこ状の総苞片の一つ一つの先端が鋭い棘になっている。葉は互生・側脈(そくみゃく)に沿うように深裂・大小不規則な鋸歯有り。鋸歯の先端は鋭い棘となっている。山野・草原・河川敷などの日当たりの良い場所に生育。日本では本州から九州まで分布、アジア大陸にも変種が有る。花言葉・触らないで・独立・厳格・復讐・満足・素直になれない恋。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

このノアザミの外に同科同属の何々ノアザミと言う花で、絶滅の恐れがある種は下記の7種がある。

ウラジロカガノアザミ 準絶滅危惧種(長野県)

オニオオノアザミ   絶滅危惧Ⅱ類(長野県)

カガノアザミ     情報不足(兵庫県)

ナガエノアザミ    分布上重要種(滋賀県)

ハリカガノアザミ    絶滅危惧1類(長野県)

ミヤマホソエノアザミ  絶滅危惧Ⅱ類(長野県)

ヨシノアザミ      絶滅危惧Ⅰ類(山口県)

 筒状花(とうじょうか)とは、花弁全てが合着し、継ぎ目のない1枚・つまり筒状になり、雄蕊雌蕊の両方を完備している花の事を言う。筒状花の上縁は5裂している。

 管状花(かんじょうか)とは、花弁全てが合着し、継ぎ目のない1枚・つまり輪っかの管状になり、雄蕊雌蕊の両方を完備している花の事を言う。筒状花=管状花

 花床(かしょう)とは、茎の先端が変形して円い皿状になり、お皿の上に花が着く。その場所の事を言う。

 頭状花序(とうじょうかじょ)とは、茎の先端が皿の様に平らになっていて(花床)その上に筒状花(=管状花)が集まって咲いている花をいう。

 総苞(そうほう)とは、花序の基部にあって特殊化した葉の事を言う。

 側脈(そくみゃく)とは、葉の真ん中を通る主葉脈から横に分かれて出ている葉脈の事。

 

ノウゼンカズラ(凌霄花) ノウゼンカズラノウゼンカズラ属         

花7月-8月。 オレンジ・黄・赤。 円錐花序。 花は合弁花(ラッパ形)だが、縁が5裂している。円錐花序の花房は下に垂れる。奇数羽状複葉・落様低木つる植物。庭木。樹高5―6m。漢方薬(利尿・通経)。 原産地・中国。弱毒(ラバコール・かぶれ・アレルギー症状)。ペット有害(ラパコール・弱毒・鎮痛・抗菌・アレルギー・かぶれ)。 花言葉・名声・名誉・栄光・豊富な愛情・華の有る人生。

 

ノカンゾウ(野甘草)(長管萱草)  ツルボラン科 (ユリ科) (ススキノ科)  ワスレグサ属

花6月-8月。黄・橙・紅。花弁6枚。外花被片(がいかひへん)3枚・内花被片(ないかひへん)3枚・一重・花径5-11㎝。花冠の筒の長さ3-4㎝・花径の上部で分枝・それぞれの枝先に花が咲く・一日花。葉は線形剣状・草丈 70-90㎝。食用可・薬膳料理。生薬(蕾・根・葉)(生薬名(金針菜(きんしんさい))・ヒドロオキシグルタミン酸アスパラギン酸・リシン・アルギニン・コリン・解熱作用・利尿作用・腫物)。花言葉・苦しみからの解放・愛の忘却・宣言・崇高・気品・憂いを忘れるなど。 絶滅危惧Ⅰ類(石川県・佐賀県熊本県)。絶滅危惧Ⅱ(群馬県福井県京都府大阪府兵庫県)。絶滅危惧種(青森県山形県新潟県・東京都・富山県滋賀県三重県奈良県鳥取県山口県)。

このノカンゾウの外に同科同属の何々ノカンゾウと言う花の中で、下記の種は京都府では絶滅している。

ヒメノカンゾウ 絶滅(京都府)。

 外花被片(がいかひへん)とは、外側にある花弁の事。外花被片の元の姿は咢。咢が変化して、花弁の様になったもの。

 内花被片(ないかひへん)とは、内側に在る本来の花弁の事を言う。

 

ノコンギク(野紺菊)(野菊)  キク科  シオン属(アスター属)

花7月-10月。 薄紫・ピンク。 野菊の一種。頭状花・中心に筒状花・筒状花の花床を舌状花が1周取り巻いている。花径2.5㎝。 有花径の上部はよく分枝し、散房花序を成す。葉は卵状楕円形から卵形。葉に鋸歯あり。草丈30-60㎝。地下茎を伸ばして生育域を広げる。食用可。ノコンギクのそっくりさんが「ヨメナ」。ヨメナとの見分けは種に毛が有るかどうかの区別である。ヨメなは毛が無い。花言葉・守護・長寿と幸福・忘れられない思い。 分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

ノボロギク(野襤褸菊) キク科 キオン属(ノボロギク属)

花5月-8月。(暖地では一年中咲く)。黄色・筒状花のみ・頭状花・筒状の咢(総苞)に包まれたまま花は平開しない。咢と花冠の高さ合わせて1㎝。葉には大きな切れ込みと不規則なギザギザ(鋸歯)がある。アザミの葉に似るが、アザミほど切れ込みが深くない。ヨーロッパ原産。北半球(中央アジアを除く)と南米太平洋側・オーストラリアに分布する。全有毒(ピロリジジンアルカロイド類。腹部鈍痛・腹水・尿量減少・胸水出現・肝臓腫大・肝硬変・肝不全・肺高血圧症・致死)。 ペット有毒(ピロリジジンアルカロイド(セネシオニン)・食慾不振・嗜眠(しみん)・嘔吐・下痢・全身脱力・腎不全・重篤の場合致死)

 

バイカウツギ(梅花空木)(五月梅)(卯月梅) ユキノシタ科(アジサイ科) バイカウツギ属  花5月-7月。 白。 一重咲き・半八重・八重咲。花弁4枚・花径3㎝・枝先に集散花序を出し、5-9輪の花を咲かせる。 芳香有り。葉は広卵形・葉身4-12cm。鋸歯有り・対生・葉身5-10㎝。樹高1-3m。果実9-10月。 落葉広葉樹低木。本州・四国・九州に分布。 花言葉・兄弟愛・匂い立つ気品・品格。絶滅危惧I類(秋田県)。絶滅危惧種(鳥取県・福岡県)

 

ハイビスカス(ハマボウ)(ブッソウゲ(仏桑花))  アオイ科  フヨウ属

花5月-10月。白・ピンク・オレンジ・赤・茶・黄・青・紫。ハワイの州花・ネパールでは聖なる花。マレーシア、スーダンの国花。南国の花だが、日本にも自生している。日本名ハマボウ・学名はヒビスクス・ハマボー。神奈川県~奄美大島までの海岸線。花言葉・勇ましさ・華やか。

 

ハコネウツギ(箱根空木)(源平空木)(サキワケ空木) スイカズラ科 タニウツギ

花5月-6月。白・ピンク・紅。咲き始めは白だが次第に色が変わり、お仕舞になると紅色になる。花の形はラッパ型。花の縁は5裂。葉は卵形で先が尖る・葉身8-15㎝。鋸歯有り。葉は対生・幹から多数の枝が直立して出て来る。落葉広葉樹低木。花言葉・移り気。  絶滅危惧種(石川県)。情報不足(福島県高知県)。

 

ハス(蓮)(ハチス)(蓮花(れんげ))(水芙蓉(すいふよう))等々  

                 ハス科(スイレン科)  ハス属

花7月-8月。 白・ピンク・黄。花弁は卵形・一重と八重。水底の泥中に塊茎(かいけい)を作り地下茎から出芽、水面或いは水面の上に葉と花茎を出す。葉は円形・直径40-50㎝。撥水性あり。草丈50‐100㎝。多年草・蓮根・花・茎・葉は食用となる。ハスの種は非常に丈夫で、2千年経っても発芽能力を持っている。原産・熱帯~温帯アジア。

 

ハクウンボク(白雲木)(オオバヂシャ)  エゴノキ科 エゴノキ

                      ★利休7選花の一つ

花5月-6月。白。花冠は5裂片・星形の花・花径20㎜・雄蕊10本・葉腋から8-18㎝位の花茎を出して下垂。その茎に、短い花柄で15-30輪ほどの花を着け、基部から順次先端に向かって開花していく。花は下垂。総状花序。白い花が満開の様子を白雲に見立ててつけられた名前。葉は円形に近い楕円形・互生・葉身10-25㎝・葉幅6-20cm・鋸歯有り・果実は9月頃。落葉広葉樹小高木・樹高6-9m。弱毒(サポニン・魚毒漁に使用(毒を流して魚を麻痺させて獲る漁))。 花言葉・壮大・愛の旅・朗らかな人。 絶滅(高知県)。絶滅危惧1類(香川県)。絶滅危惧Ⅱ類(和歌山県山口県・鹿児島県)。絶滅危惧種(奈良県徳島県大分県熊本県)要注目種(京都府)。

上記ハクウンボク以外に絶滅が危惧されているのが下記の1種である。

ハクウンボク 絶滅危惧1類(鹿児島県)。絶滅危惧Ⅱ類(山梨県)。

 

ハゴロモグサ(羽衣草)(アルケミラ)(レディス・マントル(聖母のマント))

 バラ科 ハゴロモグサ属  

花7月-8月。黄緑。花弁無し・咢片8枚・花径3㎜・小さな花が集まる・集散花序・葉は丸形か腎臓形・草丈15-35㎝。ヨーロッパ原産・高山植物・北海道夕張山系・中央アルプスの湿った礫地に生育。ヨーロッパの伝統的な薬草(婦人病・月経不順・更年期・下痢や胃腸炎の緩和・うがい薬・歯肉出血止め効果・止血・消毒・傷薬(但し、日本産のものは薬効は無いらしい))。 環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)。絶滅危惧Ⅰ類(山梨県静岡県)。絶滅危惧Ⅱ類(長野県)。絶滅危惧種(北海道・富山県)

困った事に、羽衣草に二通りの読み方が有り、ハゴロモグサと読むとバラ科高山植物になり、ハゴロミソウと読むと、平地に咲くノコギリソウの別名となる。

 

ハゴロモソウ(羽衣草)(ノコギリソウ(鋸草))(アキレア)

               キク科  ノコギリソウ属

花7月-9月。白・ピンク。草丈50-100㎝。花弁5つ・舌状花・花径7-9㎜。 散房花序。葉は深裂して主葉脈・側脈毎に割れている。その為掌状葉とは言うものの手の形ではなく鳥の足の様になっていて、一見独立した数本の線形状の葉に見える。裂片に鋭い鋸歯あり。(花・茎葉)(生薬名・西洋蓍草(せいようしそう)・リナノール・カンフアー・サビネン等々)(鎮咳・去痰・止血作用・抗炎症作用・健胃・強壮・発汗・通経薬・子宮収縮作用有り)。花言葉・戦い・治癒。 絶滅(三重県)。絶滅危惧Ⅰ類(東京都・神奈川県・京都府大阪府奈良県岡山県)。絶滅危惧Ⅱ類(茨城県)。絶滅危惧種(千葉県・岐阜県)

キク科のノコギリソウ(ハゴロモソウ)で何々ノコギリソウと名前の付く絶滅の恐れのある種は上記の外に以下の5種ある。

アソノコギリソウ 環境省カテゴリ準絶滅危惧(NT)。絶滅危惧Ⅱ類(宮崎県)。絶滅危惧種(大分県)。要注目種(熊本県)。情報不足(高知県)。

エゾノコギリソウ 絶滅危惧Ⅰ類(秋田県山形県福島県)。絶滅危惧Ⅱ類(宮城県新潟県)。

ホソバエゾノコギリソウ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB(EN)。絶滅危惧Ⅰ類(北海道)。情報不足(岩手県)。

ホロマンノコギリソウ 環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)。絶滅(山形県茨城県)。絶滅危惧Ⅱ類(岩手県)。絶滅危惧種(青森県)。

ヤマノコギリソウ 絶滅(愛知県)。絶滅危惧Ⅰ類(山形県福島県・埼玉県・神奈川県)。絶滅危惧種(秋田県)。

 

ハゼ(櫨) ウルシ科 ウルシ属 

花5月-6月。花弁5枚。花は小さい・花の長さ2㎜・花弁の先が後ろへクルッと反り返っている。雄蕊5本・雄蕊の方が花の長さより長い。葉腋から伸びた花茎に円錐花序で花を着ける。

果実9~10月。果実は茶褐色・果実の成る様子はシャンデリアの様。鳥が喜んで食べにくる。雌雄異株。葉は長楕円形で先端が鋭く尖る。全縁(鋸歯無し)・対生。奇数羽状複葉・落葉広葉樹小高木。黄葉が美しい。蠟を採る為に植栽され、それが野生化して山野にも自生。関東以西から沖縄・小笠原諸島・中国・東南アジアに分布。

ハぜと同科同属のヤマハゼは鹿児島県で布特性上重要な種に指定されている。

 

ハツユキソウ(初雪草)(ユーホルビア)  

      トウダイグサ科 トウダイグサ属(ユーホルビア属)

花7月-8月。白。花は小さく目立たない。葉は灰緑色。花が咲くころ、葉に白い覆輪が生じる様になる。専ら葉を鑑賞する。葉は草丈80-100㎝。マダガスカル原産。全有毒(特に乳汁)(ホルボールエステル・インゲノールエステル・皮膚炎・失明・瀉下剤)。ペット有毒。花言葉・好奇心・祝福・穏やかな性質。

 

ハナショウブ(花菖蒲) アヤメ科 アヤメ属

ハナショウブについてはbog№199茶花総覧(4)夏(あ行~さ行)の内、アヤメ属のグループの4番目に記載済み。念のため、同文を以下に転載する。

アヤメ④ ハナショウブ(花菖蒲) アヤメ科 アヤメ属

花5月~7月中旬。青・紫・ピンク・白・複色・黄。多年草。草丈50-100cm。原産地・日本・朝鮮半島・東シベリア。外花被片の付け根が黄色で、網目模様はない。葉は狭い剣状で葉脈がはっきりとしている。落葉する。全有毒(イリジェニン・イリジンテク・リジン・皮膚炎・嘔吐・下痢・胃腸炎)。ペット有毒  

 

ハナミョウガ ショウガ科  ハナミョウガ属(アルピニア属) 

花5-6月。淡紅色と白と赤の複色。筒状の花弁が茎に直に着いて立ち上がり、花冠は途中で3裂する。上の弁は更に高く立ち上がって雄蕊を守り、下の2つの弁はワニ口の様に開いて唇弁を形作る。唇弁2枚は合着、内側から赤い放射状の筋が現れ、昆虫への道標となっている。穂状花序。葉は幅広のミョウガの葉に似る。ミョウガの名が付いているが、食用のミョウガとは別物である。生薬(生薬名・伊豆縮砂(いずしゅくしゃ)・薬効は整腸と香辛料)。

 

ハハコグサ(母子草)(御形(ごぎょう/おぎょう )) キク科 ハハコグサ

花4月-6月。黄。多数の筒状花が総苞に包まれている。その総苞一つの直径が3㎜。茎の先端にそれ等の総苞が集まり、頭状花序を成す。花後は綿毛になって種を風に飛ばす。葉や茎は柔毛に覆われ白っぽい。日当たりの良い畑や空地・道端。食用可。ハハコグさは春の七草の一つ「ごぎょう」の事。生薬(生薬名(鼠麴草(そきくそう))・鎮咳・去痰・喉の腫れ。利尿)。

キク科のハハコグサ属で絶滅の危機に瀕している種は下記の1種である。

アキノハハコグサ  環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類。絶滅(山形県大阪府兵庫県)。 絶滅危惧Ⅰ類(青森県岩手県宮城県福島県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県新潟県・愛知県・福井県滋賀県三重県京都府奈良県香川県徳島県愛媛県高知県山口県・福岡県・大分県熊本県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(茨城県静岡県富山県岐阜県岡山県広島県佐賀県・鹿児島県)。絶滅危惧種(長野県)。情報不足(秋田県・石川県・和歌山県長崎県)。以上43都府県。

 

ハマカンゾウ(浜甘草)  ツルボラン科 (ユリ科) (ススキノ科)  ワスレグサ属

花8月-10月。黄・オレンジ・赤。花弁6枚(その内3枚の外花被片は咢が変化したもの)。花茎の先端に数個の花を咲かせる。葉は線状。草丈70-90㎝。 海岸砂礫地に生息。関東以西・四国・九州に分布。 絶滅危惧Ⅱ類(兵庫県)。絶滅危惧種(三重県和歌山県大分県・鹿児島県)。

ユリ科ワスレグサ属で、何々ハマカンゾウという種で絶滅の危機に瀕しているのは下記の1件である。

ニシノハマカンゾウ 準絶滅危惧種(鹿児島県)。

 

ハマナシ(浜梨)(ハマナス)  バラ科 バラ属

花5月-7月。 紅紫。花弁5枚。花径5-10㎝・枝先に数輪咲く。葉は奇数羽状複葉・小葉は楕円形・鋸歯有り・葉脈に沿って凹凸が深く、葉がしわしわに見える。果実8-9月・果実の直径約2㎝・真っ赤に熟し一見ミニトマト。茎には棘が密集。茨城県以北の太平洋沿岸や山陰地方の日本海側沿岸に自生・特に北海道では大きな群落をつくっている。低木。公園などでも植栽されている。 (ゲラニオール・チトロネロール・ネロール・収斂作用(しゅうれんさよう)・下痢・月経方過多・疲労回復に効能)。果実酒など食用・香水原料。 花言葉・悲しくそして美しく・旅のかなしみ。  絶滅危惧Ⅰ類(福島県兵庫県島根県)。絶滅危惧Ⅱ類(茨城県新潟県富山県福井県鳥取県)。絶滅危惧種(宮城県・千葉県・石川県・京都府)。

上記のハマナシの外に、バラ科で何々ハマナスと言う絶滅に瀕している植物に下記の1種が有る。

ハマナス 分布上希少な雑種(秋田県)

余談 ハマナシと言うか、ハマナスと言うか、梨と茄子の謂れで諸説ある。これは、婆の祖母の話・明治生まれの祖母は外来の果物や野菜に初めて接した時拒否反応を持ったそうだ。赤い茄子は気持ち悪いと言って、頂き物のそれを当初は捨てたそうだ。赤い茄子とは今のトマトの事。ハマナシの赤い実を、当時の人は茄子の一種と真面目に捉えていたのではないだろうか。茄子と言えば紫色の茄子しか知らない現代人にとって、赤茄子がトマトだったなんて、想像も出来ない話である。およばれに出された水菓子のパイナップル、変な大根だと思って口をぎゅっと閉じて一切食べなかったと、思い出話をしながら祖母は大笑いしていた。

 

ハマナデシコ(浜撫子)(フジナデシコ(藤撫子))  ナデシコ科  ナデシコ

花6月-11月。ピンク。花弁5枚・花径1.5-2㎝・雌雄の蕊と花弁が約1.7㎝の筒状の咢内に納まる。花弁の縁のギザギザは浅く小さい。花は集散花序となって有花茎頭頂に密集。葉は根元でロゼット状で倒披針形・茎の葉は対生・茎に着いている葉は長楕円形又は長卵状・葉身は6-8㎜。葉は厚味が有って無毛である。日本固有種。絶滅危惧Ⅰ類(岩手県新潟県)。絶滅危惧Ⅱ類(石川県・京都府島根県)。絶滅危惧種(福島県茨城県・千葉県・福井県・鹿児島県)。情報不足(富山県滋賀県)

ハマナデシコの外に絶滅危惧されている何々ハマナデシコが下記の1種ある。

ヒメハマナデシコ 絶滅危惧Ⅰ類(和歌山県・宮崎県・沖縄県)。絶滅危惧Ⅱ類(大分県熊本県)

※ ナデシコ(撫子)(ダイアンサス) の条で、ナデシコの一つとしてハマナデシコ(フジナデシコ)の名前を紹介している。

 

ハマヒルガオ(浜昼顔) ヒルガオ科  ヒルガオ

花5月-6月。ピンク。合弁花・花の形は朝顔と同じ・花径4-5㎝。葉は円い心形(ハート形)。ハートの基部は深く凹んでいる。葉身2-4㎝。つる植物。匍匐(ほふく)性。海岸や湖岸の浜辺に群生する。九十九里浜の南に太東海浜植物群落(たいとう かいひん しょくぶつぐんらく)という国指定天然記念物があり、そこの植物群落を構成している一つに、ハマヒルガオも含まれている。花言葉・絆・交誼・夜・優しい愛情。絶滅危惧Ⅰ類(京都府)。

 

ハマボウ(浜朴)(黄槿)  アオイ科  フヨウ属  

花7月-8月。黄・中心部は赤褐色。花弁5枚・ハイビスカスと同科同属。花径7㎝。1日花・葉は円形・鋸歯有り・互生。落葉広葉樹・枝分かれ頻繁・塩生植物。マングローブと同じで、海水に浸っても平気である。海水域や汽水域に生育。秋に果実をつけ、果実の中に種がある。熟すと種が放出され、海に落ちる。種は海水によって分布を広げる。花言葉・楽しい思い出。

絶滅(大阪府)。絶滅危惧Ⅰ類(千葉県・神奈川県・兵庫県岡山県島根県香川県高知県)。絶滅危惧Ⅱ類(愛知県・三重県愛媛県山口県・福岡県・大分県)。準絶滅危惧(和歌山県徳島県・宮崎県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

ハマボウの外に絶滅危惧されている何々ハマボウという名の植物が下記の2件ある。

オオハマボウ 準絶滅危惧種(鹿児島県)。

サキシマハマボウ 絶滅危惧種Ⅰ類(鹿児島県)。

 

ハマユウ(浜木綿)  ヒガンバナ科(ユリ科)  ハマオモト属

花7月-9月。 白。 花弁6枚・1つの弁は線形・花弁は後ろに反(そ)り返る。花茎先端から散形花序を出し、幾つもの花を咲かせる。神事に使う木綿(ゆう)に似ているので浜木綿と名付けられた。線形・常緑多年草・原産地・インドネシアスマトラ。 花言葉・どこか遠くへ・穢れが無い・ 全有毒(リコリン(アルカロイド)・垂涎・嘔吐・下痢・血圧低下・中枢神経麻痺)。 ペット有毒(リコリン・嘔吐・下痢)。

 

バラ(薔薇) バラ科 バラ属

バラは、バラ科バラ属の総称である。バラは観賞用として、又精油採取として世界中で栽培されている。19世紀半ばにはその種類が3,000種にも及び、それを基にして現在でも更に新しい園芸品種が作出されている。花期は5月-11月。品種によって開花時期は様々。四季咲きのものも有る。花色は、白・赤・真紅・ピンク・オレンジ・黄・紫・茶・緑・黒・複色など。これにグラデーションが加わり、色彩は多様。一重咲・半八重咲・八重咲など花弁の枚数によっても園芸品種が分かれ、更に、カップ咲きか剣弁咲きか、大輪・中輪・ミニバラなど、バラの世界は非常に多様である。

以上はバラの園芸品種の世界のはなしである。

以下は、日本の野生のバラ科バラ属についてである。ここに載せたバラはどのバラも一重咲きである。なかなか和の趣が有って、茶花の風情を湛えているが、如何せん、殆どが絶滅危惧種である。

 

アズマイバラ(オオフジイバラ)(ヤマテリハノイバラ)

花6-7月。白。花弁5・花弁ハート形・花径2-3㎝。奇数羽状複葉・蔓性・落葉低木・絶滅危惧1類(福島県茨城県)。絶滅危惧種(栃木県)

 

オオタカネバラ 花6-7月。淡紅紫色。花弁5枚・絶滅危惧Ⅰ類(秋田県山形県宮城県群馬県)。絶滅危惧Ⅱ類(青森県岩手県福島県)。地域個体群(新潟県)。

 

カラフトイバラ(ヤマハマナス)  花6-7月。淡紅紫色。花弁5枚。落葉低木・樹高1.5‐2m。  絶滅危惧Ⅰ類(群馬県)。絶滅危惧Ⅱ類(長野県)。絶滅危惧種(北海道)。

 

サンショウバラ 花5―6月。淡紅色・花弁5枚。奇数羽状複葉・落葉広葉樹・樹高6m。 環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)。絶滅危惧Ⅱ類(山梨県)。絶滅危惧種(静岡県)。

 

タカネイバラ 花6-7月。紅紫。5弁。樹高1-2m。針葉樹林帯・ハイマツ帯に生息。  絶滅危惧Ⅰ類(秋田県山形県福島県・埼玉県・東京都・石川県・徳島県高知県)。絶滅危惧Ⅱ類(栃木県・新潟県福井県愛媛県)。絶滅危惧種(宮城県)

 

ツクシイバラ  5-6月。ピンク。5弁。花径3-4㎝。野ばらをピンクにして花を少し大きくしたような姿。 絶滅危惧(徳島県佐賀県)。絶滅危惧種(熊本県・鹿児島県)。

 

ナニワイバラ 白。5弁。花径6-8㎝。落葉蔓性。低木。要注目種(京都府)。

 

ニオイイバラ(ヤブイバラ) 花5月。白。5弁。芳香有り。海岸線に近い崖や山地に自生。樹高2-3m。 絶滅危惧Ⅱ類(兵庫県)。絶滅危惧種(岡山県・鹿児島県)。

 

ノイバラ 花4-6月。白。5弁。花径2.5-3㎝。円錐花序。奇数羽状複葉・基本原種。

分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

フジイバラ 白・5弁・花径2.5㎝。 絶滅危惧Ⅰ類(奈良県)。絶滅危惧種(愛媛県)。

 

ミヤコイバラ 花6-7月。白・花径2-3㎝・枝先に多数の花を着ける・円錐花序。奇数羽状複葉・落葉低木。絶滅危惧Ⅱ類(徳島県)。絶滅危惧種(鹿児島県)。

 

モリイバラ 花5-6月。白。5弁。奇数羽状複葉・落葉低木。絶滅危惧Ⅰ類(宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(茨城県岡山県・福岡県)絶滅危惧種(栃木県・兵庫県熊本県)。

 

ヤクシマイバラ 花5-6月。白。5弁。花径1.5㎝。屋久島の固有種。落葉低木。 環境省カテゴリ準絶滅危俱(NT)。準絶滅危惧種(鹿児島県)。

 

ヤマイバラ 花4-5月。白。5弁。花径4-5㎝。奇数羽状複葉。 絶滅危惧種Ⅱ類(滋賀県徳島県)。絶滅危惧種(京都府奈良県鳥取県愛媛県・宮崎県・鹿児島県)。

 

リュウキュウテリハノイバラ 花6-7月。白。5弁。絶滅危惧種(鹿児島)

 

ハンカイソウ(樊噲草) キク科 メタカラコウ属 

花6月-8月。黄橙・黄。頭状花・中央に筒状花・その周囲に舌状花が10-15個ほど並んで取り囲む。花径10㎝。散房花序。有花径は直立。葉は掌状・掌状の葉脈に沿って深く裂け、春菊の葉の様な態を成している。葉身30㎝。草丈60‐100㎝。名前の由来は、漢の劉邦に仕えた武将・樊噲の名前に因んだもの。

 

ハンゲショウ(半化粧)(半夏生)(カタシログサ(片白草)) 

                ドクダミ科 ハンゲショウ

花6月-8月。白。総状花序。茎の頭頂か又は葉と対生して総状花序を出す。初めは

花序はうなだれているが、やがて立ち上がり、真っ直ぐになる。花が咲くころ、花の近くの葉の一部が白く変色する。葉は卵形・卵状心形・披針形。湿地を好む。生薬(生薬名・三白草(さんぱくそう))(利尿・解毒・解熱・出来物・黄疸・むくみ)。

絶滅危惧1類(山形県福島県・東京都)。絶滅危惧Ⅱ類(青森県秋田県宮城県新潟県・埼玉県)。絶滅危惧種(栃木県・群馬県・石川県・福井県奈良県大阪府兵庫県鳥取県島根県広島県愛媛県大分県熊本県沖縄県)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

 

ヒツジグサ(羊草)  スイレン科  スイレン

花6月-9月。白。花弁8-17枚・咢片4枚・花径3-7㎝・未(ひつじ)の刻(午後2時)ごろから咲き始めるからこの名前が着いた。水底に地下茎がある。地下茎から花茎を伸ばし水面上で一輪を開花。花は2~3日開いたり閉じたりした後、受精後水中に没し水中で結実する。熟して皮が崩れると種子が放出される。水中を漂った後水底に沈む。葉は沈水する葉と浮水葉がある。葉は楕円形か卵楕円形・基部は深く切れ込む。池や湖沼水路などに生育。北半球の余り暑くない所に分布。コイやザリガニの食害、開発などで激減している。花言葉・清純な心・純潔・清浄・甘美・進行・遠ざかった愛。

絶滅(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)。絶滅危惧1類(茨城県山梨県静岡県香川県徳島県愛媛県長崎県熊本県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(栃木県・新潟県富山県京都府奈良県大分県・鹿児島県)。 絶滅危惧種(石川県・福井県岐阜県滋賀県大阪府和歌山県鳥取県島根県)。情報不足(高知県)。

 

ヒメウツギ(姫空木)  アジサイ科(ユキノシタ科)  ウツギ属

花4月-5月。白。花弁5枚・花柄2-6㎜。花径1.5㎝。枝先に総状花序を出して咲く。花柄が小さいので、白い花の塔の様になる。花は横向き或いはやや下向きに咲く。葉は披針形・葉先は尖る。ウツギの葉より毛が少ない。よく分枝する。匍匐する。落葉広葉樹低木・樹高30‐150㎝。花言葉・古風・風情・秘密・謙虚。絶滅危惧Ⅱ類(新潟県)。

アジサイ科ウツギ属で、何々ヒメウツギと言う名前の絶滅危惧される種は、上記ヒメウツギの外、下記の3種が有る。

オキナワヒメウツギ  環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠA類(CR)。絶滅危惧1類(沖縄県)

コミノヒメウツギ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠA類(CR)。絶滅危惧1類(大分県・宮崎県)。

ヤエヤマヒメウツギ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。絶滅危惧Ⅱ類(沖縄県)。

 

ヒメカンゾウ(姫菅草)  ワスレグサ科(ユリ科)  ワスレグサ属

花4月—5月。黄・黄橙。 花弁6枚(外花被片3・内花被片3枚)。花柄は短い。花茎の上部に数個の蕾を着け、花は次々と咲く。一日花。葉は線形・花茎は葉よりも短い。草丈30-40㎝。

 

ヒメサユリ (姫百合)(オトメユリ)  ユリ科 ユリ属

花6月-8月。 淡いピンク。ラッパ型・葉は広披針形。草丈30-60cm。東北の飯豊(いいで)山地や朝日連峰などの極めて限られた地域でしか生息していない。日本固有種。花言葉・飾らぬ愛・私の心の姿・純潔。

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでEndangered(EN)指定。環境省カテゴリ・準絶滅危惧(NT)絶滅危惧I類(宮城県)。絶滅危惧Ⅱ類(山形県新潟県)。準絶滅危惧(NT)(福島県)。情報不足(富山県)。

 

ヒメジョオン(姫女)(鉄道草)(柳葉姫菊)  キク科  ムカシヨモギ

花6月-10月。 白。 筒状花(管状花)と舌状花の集合体・形はヒマワリに似る・花径2㎝。舌状花は糸の様に細い・茎の上部で枝分かれをする・散房花序。草丈30-150㎝。低地から高山まで何処にでも生えている。要注意外来生物・日本の侵略的外来種のワースト100指定主・1株で4,000個以上の種を生産し、綿毛が風によって飛散する。種子の寿命が15年と言う強い繁殖力があるので、駆除が追い付かなくなっている。除草剤への耐性があるものが出現している。花言葉・素朴・清楚。

余談  ヒメジョオンとハルジオンの違い

ヒメジョオン(姫女菀)。花弁約100個。花弁の並びは行儀良。茎に髄有り堅い。葉は茎抱かず。

ハルジオン(春紫苑)。花弁約200個。花弁の並びは乱れ気味。茎は空洞柔い。葉は茎を抱く。

 

ヒメシャガ(姫射干) アヤメ科  アヤメ属  

花5月-6月。白・紫。花はシャガと同じだが小振り。花径2cm。外花被片3枚(外側にある花びら)には紫色の筋と黄色の斑点があり、中央は白色。内花被片3枚・淡紫色で上向いて立っている。花茎に2-3輪の花を着ける。総状花序。葉は剣状。草丈15‐30㎝。多年草。樹林の日陰で余り湿り気のない場所が好き。冬は葉が枯れて休眠する。栽培はされているが、自生の数が激減している。北海道西南部・本州・四国・九州北部。日本原産。

環境省カテゴリ絶滅危惧(NT)。絶滅(千葉県・奈良県)。絶滅危惧Ⅰ類(茨城県・埼玉県・東京都・神奈川県・山梨県静岡県京都府和歌山県兵庫県徳島県・福岡県)。絶滅危惧Ⅱ類(栃木県・群馬県・長野県・福井県滋賀県岡山県広島県島根県)絶滅危惧種(秋田県岩手県山形県宮城県福島県新潟県富山県・石川県・岐阜県)。情報不足(大分県)。

 

ヒメシャジン(姫沙参)   キキョウ科  ツリガネニンジン

花7月-8月。 青紫。 花の形は釣鐘状。花は有花茎の頭頂から咲き、順次下へ向かって咲き進む集散花序を成す。1茎に3-7輪暗い花を着ける。花は下垂。 葉は長楕円形或いは披針形・草丈10-40㎝。東北地方から中部地方の山岳地帯に分布。高山の砂礫地や岩場に生育。高山植物絶滅危惧Ⅰ類(奈良県)。絶滅危惧Ⅱ類(埼玉県・福井県)。地域個体群(新潟県)。

同科同属で何々シャジンと言う種で絶滅が危惧されている種が他に1件ある。

ミヤマシャジン  絶滅危惧Ⅰ類(岩手県・埼玉県)。地域個体群(新潟県)

なお、シャジンとは、ツリガネニンジンの事を言い、ヒメは小さい事を表す。

 

ヒメシャラ(姫沙羅)  ツバキ科 ナツツバキ属

花5月-7月。 白。ナツツバキより花が小さい。花弁は5枚。落葉広葉樹高木。樹高15m。株立ち・樹皮は赤褐色である。葉は披針形や卵形或いは楕円形・葉先は尖(とが)る・鋸歯有り・互生。幹は日本三大美幹(アオギリ・シラカバ・ヒメシャラ)と言われている。地味の豊かな山地を好む。花言葉・謙譲。

絶滅危惧Ⅰ類(長野県)。絶滅危惧Ⅱ類(兵庫県)。要注目種(京都府)。分布特性上重要な種(鹿児島県)。情報不足(福岡県)。

同科同属で何々シャジンと言う種で絶滅が危惧されている種が他に1件ある。

ヒコサンヒメシャラ  絶滅危惧Ⅰ類(和歌山県)。絶滅危惧Ⅱ類(山梨県)。絶滅危惧種(三重県奈良県・福岡県・大分県)。情報不足(鹿児島県)。

 

ヒメノカリス(スパイダーリリー)  ヒガンバナ科  ヒメノカリス

花7月-8月。  白。 花弁は基部で合着して細い筒状・開平部から先は奇妙な形をしている・花冠は二重構造になっている。外側に細長い花弁が6本ある。この花弁は紐の様に異様に長く、垂れ下がっている。その内側に朝顔の様なラッパ型の副花冠がある。朝顔状の副花冠の6ヵ所から6本の突起が出ていて、その突起の先が糸の様に伸び、先端に橙色の葯がついている。つまり雄蕊と副花冠が合着した形である。朝顔の真ん中から1本の雌蕊が出ている。副花冠を蜘蛛の体と見立てれば、足長蜘蛛の様である。花径20㎝。葉は披針形・草丈50-80㎝。球根常緑多年草西インド諸島原産。全有毒・特に鱗茎(リコリン・ガランタミン・タゼチン・シュウ酸カルシウム・摂食皮膚炎・経口で嘔吐・下痢・中枢神経へのダメージ)。 ペット有毒。

 

ヒメユリ(姫百合)  ユリ科  ユリ属

花6月-7月。朱紅色。花弁6枚(外花被片3枚・内花被片3枚)。 花径5―8㎝。花は上を向いて咲く。1茎に3-6輪の花を咲かせる。花被片は外側に反る。葉は線状披針形・葉身約5㎝・互生。 草丈30-50㎝。山地の草地や明るい林の林縁などに自生。東北地方南部以南から九州まで。極東に分布。花言葉・誇り環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB(EN)。絶滅(愛知県・兵庫県)。絶滅危惧Ⅰ類(青森県京都府和歌山県大阪府奈良県岡山県広島県山口県香川県徳島県愛媛県高知県大分県熊本県・宮崎県)。

同科同属で何々ヒメユリと言う種で絶滅が危惧されている種が他に1件ある。

ノヒメユリ  環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。絶滅危惧1類(福岡県・大分県・宮崎県・鹿児島県)。絶滅危惧Ⅱ類(佐賀県)。絶滅危惧種(熊本県)。

 

ビャクダン(白檀)  ビャクダン科 ビャクダン属

花5月。 黄・紫。 雌雄異株。半寄生植物。初めは寄生せずに成長するが、次第に傍にある木に吸盤で吸い付く様になる。寄生して依って立つ木(宿主)は140種類に及ぶ。栽培が難しく、インド政府はビャクダンの伐採制限を設けており、輸出規制されている。インド原産。インドネシア・オーストラリアなどでも生育しているが、香りが劣る。中国では、ビャクダンをセンダン(栴檀)と呼ぶこともある。白檀と栴檀は全く別種である。栴檀は双葉より芳し」は白檀と栴檀を取り違えて生んだ諺である。栴檀に香りは無い。→センダン参照)。  香木。 (サンタロール・殺菌作用・利尿作用・鎮静作用)。 有用材(彫刻・家具など)。  花言葉・平静・沈着。

 

ヒョウタン(瓢箪)(ひさご)(ふくべ)  ウリ科 ユウガオ属

花7月。 白。 花弁5枚。夕方開花・翌日の昼にしぼむ。 雌雄異花・葉は心形・草丈3-20m。蔓性・果実は水筒などの容器に加工。紀元前から瓢箪の栽培が行われており、容器に使用されていた。瓢箪の絵を六つ描いた模様は、無病(六瓢)との語呂合わせから、棗(なつめ)などのお茶道具に好んで用いられる。1年草・北アフリカ原産。有毒(ククルビタシン・唇の痺れ・嘔吐・腹痛・下痢)。 ペット有毒 。 

 

ビヨウヤナギ(未央柳)(美容柳)  オトギリソウ科  オトギリソウ属

花6月-7月。 黄。 花弁5枚・キンシバイがお椀型に咲くのに対し、ビヨウヤナギは花を開き切って弁を水平にして咲く。キンシバイの雄蕊は花冠内に納まるが、ビヨウヤナギの雄蕊は長い花糸を外に突き出し、シャワーを上に向けて放水している様に広がる。葉は披針状長楕円形・葉身5-8㎝・鋸歯無し・対生。半落葉広葉樹低木・樹高1m。株立ちし、枝垂れる。新しい葉が出て来ると古い葉が落葉する。生薬(ヒペロラクトン・ビヨウヤナギン・利尿・鎮痛・腰痛・入浴剤・虫刺され)。 花言葉・気高さ。

 

ヒルガオ(昼顔)  ヒルガオ科  ヒルガオ

花6月-8月。  薄桃色。  合弁花・ラッパ型・葉腋から花柄を出し、花を咲かす。花径5―6㎝。花の基部に付いている咢を守る様に2枚の苞が着く(←セイヨウヒルガオには苞が付かない)。蔓が伸びるに従い、順次蕾が着き、花が咲いて行く。花は一日花。繁殖は地下茎による。日本原種・日本全国に分布。食用可。分布特性上重要な種(鹿児島県)。

同科同属で何々ヒルガオと言う種で絶滅が危惧されている種が他に4件ある。

グンバイヒルガオ 絶滅危惧1類(愛媛県高知県大分県熊本県長崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(宮崎県)。要注目種(京都府)。

ソコベニヒルガオ 絶滅危惧Ⅰ類(熊本県)。絶滅危惧種(鹿児島県)。

ハマヒルガオ 絶滅危惧Ⅰ類(京都府)。ハマヒルガオについてはハマヒルガオの条で既出

ヒロハヒルガオ 準絶滅危惧種(福島県大阪府)。

 

フウロソウ(風露草)(ゲラニウム)(ゲンノショウコ(験証拠))(医者いらず)(医者殺し)

                   フウロソウ科  フウロソウ

花7月-8月。  ピンク・白・紫。 花弁5枚。梅の花に似る。葉は深い切れ込みがある。葉は対生・掌状形で切れ込みが深い。匍匐性・宿根多年草。原産地・東アジア・ヨーロッパ・小アジア。 何処にでも生えている雑草。食用可。昔から民間で薬草として知られている。ゲンノショウコは、ドクダミやセンブリと共に日本三大薬草で、ゲンノショウコは下痢止めに効能が有る。民間薬(下痢・便秘・扁桃腺炎・口内炎・うがい薬・食中毒・胃腸疾患)。但し漢方薬としては扱われず。なお、同科同属のアメリカフウロは、ジャガイモやトマトの青枯れ病予防に有効とされ、沖縄ではジャガイモ畑にアメリカフウロを一緒に育てているそうである。

 

フシグロセンノウ(節黒仙翁)  ナデシコ科  センノウ属

花7月-10月。 朱赤。 花弁は5枚。花径 35‐50㎜。雄蕊10本・咢は筒状。葉は披針形・長楕円形・葉は対生・有花茎は直立。茎に節あり。節は赤褐色。草丈50‐80㎝。 山地の木陰に生育。日本の太平洋側に分布。日本固有種。

絶滅危惧Ⅰ類(秋田県・東京都・福岡県・佐賀県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(千葉県・神奈川県・石川県・愛媛県高知県)。準絶滅危惧種(茨城県・埼玉県・富山県大分県)。情報不足(鹿児島県)。地域個体群(新潟県)。要注目(福井県)。

 

フジナデシコ(=ハマナデシコ) → ハマナデシコ参照

 

ブッソウゲ(仏桑花)(=ハイビスカス) →   ハイビスカス参照

  

ブルースター(=オキシペタラム)  

→ ブログ№199茶花総覧(4)  夏(あ行~さ行)のオキシベタラムの条を参照

 

ベニガク(紅額)(ベニガクソウ(紅額草))(ベニガクヤマアジサイ)  

                  アジサイ科  アジサイ

花6月-7月。 白→紅。 ヤマアジサイでは、本来の花は中心部に集まっている粟粒のようなぷつぷつしたものが花で、その周りを囲んでいる花らしく見える4弁或いは3弁の「花」を装飾花と言う。装飾花は咢が変化したものである。ヤマアジサイの変種で、一番外側にある装飾花が赤くなったものを、ベニガク、又はベニガクソウと呼ぶ。紅額は一重咲きで白。開花から時間が経つにつれ、白から紅色に変化して行く。江戸時代から栽培されている。

なお、ヤマアジサイガクアジサイの違いは、

ヤマアジサイの方が開花が早く(5月~6月)、ガクアジサイの方が遅い(6月~7月)。

ヤマアジサイの方が樹高が低く(1~2m)、ガクアジサイの方が背が高い(2~3m)。

ヤマアジサイの方は葉が薄く、ガクアジサイの方が葉が厚い。

ヤマアジサイは林の下の湿った場所を好むが、ガクアジサイは日向の方が好き。(でも、日陰でも育つ)。

 

ベニバナ(紅花)  キク科  ベニバナ属

6月-7月。 黄・橙。 筒状花・花の姿はアザミに似る。咲き始めの花の色は黄色、次第に色が濃くなり朱赤になって行く。葉は披針形・鋸歯有り・鋸歯毎の先端に鋭い棘が有る。紅花を染料などに使う為花摘みが行われるが、棘が朝露に濡れて柔らかくなっている内に、花摘み作業をする。 耐寒性の一年草。草丈0.5‐1m。原産地は未確定・北緯20度~30度のアフリカ・中近東・インド辺りが原産地と推定されている。古代エジプト時代からベニバナは栽培されていた。日本には天平時代以前に既に渡来している。染料・食用油・化粧品・薬用など多方面に利用されている。 生薬(生薬名・紅花(こうか)・カルタミン・サッフロールイエロー・カルタミジン・血流促進・血行障害の改善・産後の不調・更年期障害)。食用可。花言葉・愛する力・熱中・包容力。

 

ほうせんか(鳳仙花) ツリフネソウ科 ツリフネソウ属

花6月-9月。 赤・白・黄・紫。 花は咢片も花弁も同色。咢片3枚の内、左右の2枚は極く小さく目立たず、下にある咢は花弁を下支えする様に大きなスプーン状になっていて、柄に相当する部分が曲がって距(蜜壺)になっている。かぶさるように上に花弁が1枚、下支えの咢の内側から大きな花弁が2枚、小さな花弁が2枚出ている。花弁は合計5枚。右側の大きな花弁は右側の小さな花弁と合着、左側の小さな花弁と左側の小さな花弁が合着している。従って、見た目では、下から大きな花弁が2枚突出している様に見える。葉腋から2-3の花柄を出して花が着く。花は横向き或いは少し下向き。果実が熟すと、ちょっとした衝撃ではじけて種が飛び出す。葉は披針形・鋸歯有り・互生する。1年草・草丈60㎝。茎は直立・ 生薬(生薬名・鳳仙(ほうせん)・急性子(きゅうせいし)・ナフトキノン類・アントシアニン・チアニジン・ケンフェロール・クエルセチン・筋肉痛・関節痛・対筋肉痙攣・対腫物・対化膿性皮膚炎・対咬傷・対喉の骨刺さり・感冒薬・陣痛誘発剤・無月経・腹部腫瘤・許肉中毒の治療・打撲症などに効能有り)。ペット有毒。花言葉・私に触れないで。

 

ホオズキ(鬼灯)(鬼燈)(酸漿)(輝血(かがち))  ナス科  ホオズキ

花6月-7月。 うす黄。五角形・合弁花・短い柔毛が密集・葉腋から花柄を伸ばし、花を咲かせる。1年草又は多年草。葉は卵形・草丈30-100㎝。受精後、子房肥が肥大して咢が成長。咢が果実をすっぽりと包み込む。お盆の頃真っ赤に色づく。原産地・日本。生薬(生薬名・酸漿(さんしょう))。全有毒(ヒソトニン・子宮収縮作用(妊婦は注意・堕胎の恐れ有)・心臓毒・嘔吐・下痢・腹痛)。ペット有毒。 食用ホウズキは和名オオブドウホオズキと言って、お盆に飾る赤いホオズキとは別物で、トマティーヨと言う。トマティーヨもナス科で有毒だが、完熟した実ならば食用可。  花言葉・自然美・心の平安・偽り・浮気。

園芸に依らない自生種のナス科ホオズキ属の中で、何々ホオズキと言う名前で絶滅に瀕している種は以下の7種ある。

アオホオズキ 環境省カテゴリ絶滅危惧Ⅱ類(VU)。絶滅危惧Ⅰ類(群馬県・埼玉県・東京都・長野県・山梨県・石川県・福井県滋賀県和歌山県兵庫県広島県山口県徳島県高知県・福岡県・熊本県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(栃木県・神奈川県・岐阜県・愛知県・京都府奈良県鳥取県愛媛県大分県)。絶滅危惧種(静岡県)。情報不足(島根県)。

イガホオズキ 絶滅危惧Ⅰ類(徳島県高知県・福岡県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(千葉県・東京都・香川県愛媛県山口県長崎県)。絶滅危惧種(奈良県佐賀県熊本県・鹿児島県)

ハダカホオズキ 絶滅危惧Ⅰ類(秋田県群馬県)。絶滅危惧Ⅱ類(長野県)。絶滅危惧種

(宮城県新潟県)。

マルバハダカホオズキ 絶滅危惧Ⅰ類(和歌山県愛媛県・福岡県)。絶滅危惧Ⅱ類

(兵庫県徳島県)。絶滅危惧種(鹿児島県)。

ムニンホオズキ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。

メジロホオズキ 絶滅危惧1類(千葉県・兵庫県徳島県)。絶滅危惧Ⅱ類(三重県和歌山県熊本県)。絶滅危惧種(長崎県・鹿児島県)。

ヤマホオズキ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。絶滅危惧(栃木県・茨城県・千葉県・東京都・静岡県岐阜県滋賀県兵庫県広島県山口県香川県徳島県高知県愛媛県・福岡県・佐賀県大分県・宮崎県)。絶滅危惧Ⅱ類(愛知県・京都府大阪府奈良県和歌山県長崎県・鹿児島県)。絶滅危惧種(神奈川県・岡山県熊本県)。

 

ホザキシモツケ(穂咲下野)  バラ科  シモツケ

花7月-8月。 淡紅色。 花弁5枚・梅紋型・花径6㎜・円錐花序・花は頭頂の花から咲き始め、茎の下へ向かって順次咲き始める・有限花序・花柄が短いので、花序軸から花が余り離れず、一見穂の様に見える。雄蕊が目立ち、花序軸全体が毛羽立って見える。花穂(かすい)の長さ8-15㎝。 葉は長楕円形。根茎は地下50㎝くらい深く地中に走る。根茎から枝を直立させて出す。幹は細く、細い枝が群れ立っている様に見える。落葉広葉樹低木・樹高1-2m。 日本では北海道と本州中部山岳以北の湿原や湿原の周辺部で、日当たりの良い所。地味が豊かで停滞水が無い所を好む。ユーラシア大陸の亜寒帯に分布。 花言葉・活発。

絶滅危惧Ⅰ類(青森県岩手県群馬県長崎県)。情報不足(福島県)。要注目(栃木県)。

 

ボダイジュ(菩提樹)(コバノシナノキ)  アオイ科  シナノキ

花5月―6月。 クリーム色。花弁5枚・咢片5枚・雄蕊多数。菩提樹の花は、面白い所から花を咲かせる。普通花は、枝や茎の先とか、葉腋から花柄を出して咲かせる。ところが菩提樹は葉っぱの葉脈の途中から花序軸を下垂させ、集散花序で花を咲かせる。花序の長さは6-10㎝。そこに花を3-10輪くらいつける。葉っぱと言っても二種類あって、花序軸を出すのは苞葉というへら状をした葉である。苞葉は心形葉(ハート形)の葉の付け根にある。苞葉は緑の色が薄く、心形葉より小さい。心形葉の葉身は5―10㎝・心形葉に鋸歯有り・葉裏に星形毛が密生・葉裏の色は灰緑色・互生。落葉広葉樹高木。直立。樹高20m。

お釈迦様が悟りを開いたと言われる菩提樹は、アオイ科の本種ではなく、クワ科イチジク属のインドボダイジュである。伝説では明菴栄西が中国から禅宗や茶の種をもたらした際、仏教の聖樹・菩提樹も共に持ち帰ったと言われている。が、それはインドボダイジュでは無く、中国で菩提樹として見立てられていた樹であった、と言われている。インドボダイジュは中国の気候では育たず、中国のお寺ではその代りの樹を菩提樹として植えていた。又、シューベルト歌曲集「冬の旅」に出て来る菩提樹は、セイヨウシナノキある。セイヨウシナノキの葉は心形をしており、愛の想いを託す葉として数多くの詩や物語に登場する。因みに、インドボダイジュも、日本のお寺に植えられている菩提樹(コバノシナノキ)の葉も心形である。

生薬(製薬名・菩提樹(ぼだいじゅか)菩提樹(ぼだいじゅひ)・成分不明・鎮痙・鎮静・発汗)。 花言葉・夫婦愛・結婚・情熱の恋・熱愛。

アオイ科菩提樹で何々ボダイジュと言う名の、絶滅が危惧される種は下記の7件である。

エチゴボダイジュ 情報不足

オオバボダイジュ 絶滅危惧Ⅰ類(石川県)。絶滅危惧種(山梨県)。要注目(福井県)。

チュウゴクボダイジュ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠA類(CR)

ツクシボダイジュ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)。絶滅危惧(大分県)。

ノジリボダイジュ 分布上希少な雑種(秋田県)。

ブンゴボダイジュ 絶滅危惧Ⅰ類(大分県)。

マンシュウボダイジュ 環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠA類(CR)。絶滅危惧Ⅰ類(山口県)。

絶滅危惧Ⅱ類(岡山県広島県)

 

ホタルブクロ(蛍袋)(釣鐘草)(アメフリバナ)  キキョウ科  ホタルブクロ属

花5月-7月。 白・紫・ピンク。 花は釣鐘型・花冠は浅く5裂・花弁の内側に濃い赤紫の斑点有り・葉腋から数本の花柄を出し、花を着ける。同じ葉腋が出柄した花蕾が同時に開花するのは稀で、大体その中で順番に咲いて行く・総状花序・園芸品種の釣鐘草(カンパニュラ・メディウム)の様に満艦飾に花を咲かせることはない。草丈30-80㎝。山野草多年草。原産地・東北アジアから日本。絶滅危惧Ⅱ類(秋田県・鹿児島県)。絶滅危惧種(北海道・宮崎県)。

同じ仲間で何々ホタルブクロという名の絶滅危惧されているのは下記の2種類である。

イシダテホタルブクロ  絶滅危惧Ⅰ類(徳島県)。

ヤマホタルブクロ  絶滅危惧Ⅰ類(山形県)。絶滅危惧Ⅱ類(京都府)。絶滅危惧種

(奈良県鳥取県)。情報不足(兵庫県)。

 

ホトケノザ(仏の座)(元宝草)(宝蓋草)  シソ科  オドリコソウ属

花3月-6月。紫・白。花の形は唇形状。地面に近い方の葉は半円形で丸味を帯びた切れ込みがあって対生する。茎頂に近い葉は対生する相手と合着して茎を抱き込んで一枚になる。葉は段々になって着くので、三階草とも呼ぶ。草丈10-30㎝。食用に不向き(不味い)。春の七草の「ホトケノザ」はこれとは別物。春の七草で食するホトケノザの和名は「コオニタビラコ(小鬼田平子)」と言い、花は黄色、葉はタンポポの葉の形に似ていて、根出葉がロゼット状になる。

 

ポトス(黄金葛(おうごんかずら))  サトイモ科  ハブカズラ属(エピプレムヌム属)

つる性着生植物・観葉植物。葉はハート形。原産地・南太平洋諸島。全有毒(シュウ酸カルシウム・皮膚の炎症)。ペット有毒(皮膚炎症・呼吸困難)。

 

ホヤ(サクララン)  キョウチクトウ科(ガガイモ科)  サクララン属(ホヤ属)

花6月-10月。  うす紅。  花5弁。基部で合着している。花の中心は濃い紅紫。花径12‐15㎜。 観葉植物ホヤには、色々な種類が有る。つる植物で、岩などに張り付いて自生している。葉は肉厚・心形葉・円形・柳葉・カールした葉など様々な形が有る。色も、濃緑や、葉脈模様が浮き出た褐色や黄色の葉、白い斑入り、覆輪と種類が豊富で、観葉植物として楽しめる。草丈30-100㎝。原産地・オーストラリアと東アジア。全有毒(カルデノライド・摂食皮膚炎・心臓に対する軽度な毒性。詳細は不明)。ペット有毒。

 

 

 

この記事を書くに当たり、下記の様なネット情報や本を参考に致しました。(順不同)

日本のレッドデータ検索システム

京都府レッドデータブック2015

厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル: 高等植物

公益法人 日本薬学会

医薬品情報21

東京都保健医療局 食品衛生の窓

公益社団法人日本薬学会センダン-生薬の花

日本食品化学学会誌 F344ラットにおけるホウセンカ抽出物の13週間亜慢性毒性試験

知っておきたい『漢方生薬』 一般社団法人 日本東洋医学協会

熊本大学薬学部薬用植物園薬草データベース

岩手県立學校 {A} 誤食により作用発現するもの-植物名 科名 説明

北海道医療大学・北方系生態観察園に自生する薬用植物2

岐阜医療科学大学 薬学部 身近な植物中毒vol.6~ナンテン中毒

岐阜医療科学大学 薬学部 身近な植物中毒Vol7~チューリップ中毒

城西国際大学 薬用に出来ない毒草

小さな家族のために知っておきたい植物の毒性/屋外樹木

井上動物病院 ベットに危険な植物

牧草・飼料作物および雑草にふくまれる有毒物質と家畜中毒 (独)農業環境技術研究所

           研究リーダー藤井義晴・雪印種苗(株)af@:yg(4農場首席研究員 橋爪健。

農林水産省有機合成(有機リン)殺虫剤の環境生物に及ぼす影響と開発利用に関する研究

人間・植物関係学会 花店における花作業の従事者に見られる身体の異常反応 

    米田和夫・斎藤剛敏・鈴木基夫

阿蘇の文化的景観」 保存調査報告書2016(平成28)年3月 

    阿蘇市南小国町、小国町、産山村、高森町、南阿曽村、西原村

林野植物に対する放牧家畜の採食嗜好性  岡野誠一 ・ 故岩元守男

筑波大学生物学類 花序Inflorescence

日本植物生理学会 円錐花序の説明について | みんなの広場

山形大学附属図書館 紅花の豆知識

大五木材 木と炎・ナナカマドの正体①森のかけら

岡山理科大学 ナナカマド

北海道ホームページ ナナカマド(七竈)-建設部まちづくり局環境課

筑波実権植物園エンコウソウ:おすすめコンテンツ>>植物図鑑

国立大学法人 福岡教育大学 ホウセンカ(1)花

北海道開発局 044045 ホザキシモツケ.ai

大学院理学系研究付属植物園 ホザキシモツケ-日光植物園-Spiraea salicifolia

広島大学デジタルミュージアム フジナデシコ-広島大学デジタル博物館

岐阜聖徳学園大学 ナデシコ科の植物図鑑

名古屋大学博物館 7月の植物 | 野外観察園だより

東邦大学 薬学部付属薬用植物園

嬉しハーブ トケイソウを植えてはいけない3つの理由! 毒性と花言葉が怖い・気持ち悪い説も

しぜんたんけんてちょう オニドコロ(トコロ)

[ヒヤリハット報告} ノボロギクを食べそうになった件

知らないと危険! 犬が食べると実は危険な植物リスト~夏と秋編~

誤解された「栴檀は双葉より芳し」

Green Snap [写真付]サツキとツツジの違い| 花や葉、開花時期

タニウツギ(谷空木)(田植え花)(葬式花)(カジバナ) 

サラシナショウマ|高尾山の宝物たち-TAKAO599

宮崎と周辺の植物 ハナミョウガ

国立科学博物館

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花と観葉植物・ハーブの育て方が良く分かる園芸百科(株)ブティック社

原色植物百科図鑑 集英社

原色牧野日本植物図鑑 北隆館

世界大百科事典 平凡社

このほかにも書き切れないほどの沢山の情報を利用させて頂きました。

まことにありがとうございました。