式正織部流「茶の湯」の世界

式正織部流は古田織部が創始した武家茶を伝えている流派で、千葉県の無形文化財に指定されています。「侘茶」とは一味違う当流の「茶の湯」を、武家茶が生まれた歴史的背景を中心軸に据えて取り上げます。式正織部流では「清潔第一」を旨とし、茶碗は必ず茶碗台に載せ、一人一碗をもってお客様を遇し、礼を尽くします。回し飲みは絶対にしません。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

164 権力の相剋

釜の前に独り坐し、有るか無きかの幽かな風を、立ち昇る湯気の揺らぎに感じながら、何時も通りの手順で茶を点てて行く。呼吸が整い、心が鎮まり、一盌を服して瞑目。明日は戦場ぞ・・・ 人付き合いの茶の湯では無く、武将が内面で求めていた茶の湯は、そのよ…

163 茶正月 一客一碗

11月、茶の正月。炉開きの季節です。 何時の間にか季節はしずかに忍び寄り、婆の住まう団地の庭の、ハゼの木の樹冠が少し赤く色付きはじめました。三階のベランダを超えるまでに大きく育ったそのハゼの木は、秋になると鳥たちの楽園になります。ハゼの褐色の…