式正織部流「茶の湯」の世界

式正織部流は古田織部が創始した武家茶を伝えている流派で、千葉県の無形文化財に指定されています。「侘茶」とは一味違う当流の「茶の湯」を、武家茶が生まれた歴史的背景を中心軸に据えて取り上げます。式正織部流では「清潔第一」を旨とし、茶碗は必ず茶碗台に載せ、一人一碗をもってお客様を遇し、礼を尽くします。回し飲みは絶対にしません。

192 古田織部茶書(1) 抜粋解読

古田織部茶の湯を知るには、織部が弟子にどのように教えていたかを知るのが一番の早道です。

そこで、先ず「宗甫公古織へ御尋書」と言う書を取り上げてみたいと思います。

宗甫とは小堀遠州の事。古織とは古田織部の事。つまり、弟子の小堀遠州が、師の古田織部に聞いた事を、メモ書きして残した書が、「宗甫公古織江御尋書」という本です。

メモ書きですので、「一つ書き」という体裁で書かれています。一つ書きと言うのは、一 なになにと言う具合いに書き連ねて行く書き方です。

 

ここでは、国立国会図書館デジタルコレクショ「宗甫公古織江御尋書」を基に思文閣から発行された市野千鶴子氏校訂「茶湯古典叢書」から「宗甫公古織へ御尋書」を大いに参考にしながら取り上げてみたいと思います。

なお、中身がどういう内容なのか、雰囲気だけでも知ろうとするものなので、取り上げるのは全部の条では無く、婆なりに目に止まった条だけに致します。

また、条についている番号は、原文に元々付いている番号では無く、又、市野千鶴子氏が付けた番号でも無く、婆が整理の都合上勝手に付けた通し番号です。

更にまた、原本と市野氏の本では、カタカナ・平仮名(万葉仮名も含めて)の扱い方の違いや漢字の平仮名化などが所々見受けられましたので、ここでは、原本に出来るだけ添うようにしました。

 

       宗甫公古織江御尋書

先ずは最初の1条です。原本1巻目コマ番号 3/27頁出。市野氏本3頁出。

一 墨蹟乃覚風帯左ヲ上

[訳] 一、墨蹟の掛け軸の覚え。風帯の左を上にします。

[解] 墨蹟とは禅僧が書いた書の事。風帯と言うのは、掛け軸に上(天)から下がっている二本の細い帯のことです。織部は墨蹟の掛軸を仕舞う時は、風帯は本紙と一緒に巻き込まずに、風帯の左を上にしなさい、と言っております。

「左を上に」と言う事を図的に説明しますと、こういう事になります。

掛け軸を下から巻いて行って最後に一番上まで達した時、てっぺんから下がっている風帯2本が邪魔になります。邪魔になるからと言ってそれを本紙と一緒に巻き込んでは絶対にいけません。何故なら、巻いてしまうと、取り出して飾ろうとする時、その癖がついた風帯がゼンマいの様にくるくる巻いてしまって蚊取り線香の様になってしまうからです。ではどうするか?

風帯を巻き込まずに、表木(ひょうもく)(一番上にある芯材)に添う様に、横に左右の風帯を折り曲げるのです。その折り曲げた風帯の扱い方ですが、左側が上になる様に折りなさい、という意味です。

(※ 表木(ひょうもく)の事を「半月(はんげつ)」とか「八双(はっそう)」とも呼びます。)

 

4番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号 3/27頁出。市野氏本3頁出。

一 墨蹟畳上ニテ巻候事、横ヨシ

[訳] 一 墨蹟の掛け軸は畳の上で巻きます。横にするのが良い。

[意] 掛け軸を巻く時は、掛け軸を畳の上に広げて巻きます。横にして巻くのが良いです。

[] 現在、表具屋さんなど掛け軸を扱う業者が行っている掛け軸の仕舞い方では、畳に置かずに床に掛けたまま下から巻き上げて行く方法を取っている様です。畳の上に広げると、畳の上の埃(ほこり)や塵(ちり)を巻き込むからだそうです。

掛けている物を仕舞うのではなく、平らな所に広げたものを再び巻いて仕舞う分には、畳の上に横に置いて巻くのが良い、と言うことでしょう。

 

17番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号 4/27頁出。市野氏本4頁出。

一 肩衝盆ニ置時、左之手を右へ添、盆ニ置時指を先付、扨茶入を置

[訳] 一 肩衝(かたつき)をお盆に置く時は、左手を右へ添え、盆に置く時は指先を先に付けて、扨(さて)それからお盆に置きます。

(肩衝とは、抹茶を入れる陶器製の小壺で、肩が角張っている物を言います。)

[意] この文章から、ここでは濃茶のお点前を取り上げている事が分かります。何故なら、茶入れ(→陶器製の小壺)は濃茶点ての時に使うものだからです。薄茶の時には茶入れを使わない代わり、棗(なつめ)(→漆塗りの木製)を使います。そして、お盆を使う事、添え手を指示している事から、これは式正の点て方だと分かります。他流では通常お盆を使いませんし、添え手の仕草もありません。

添え手と言うのは、主茶碗や棗、茶入れなどを扱う時に、それを持った手の反対側の手を添える所作の事を言います。粗相があってはならない為です。

それが「左之手を右へ添え」の表現になっています。例えば、柄杓で一杯のお湯を汲み茶碗に注ぐ時も、右手で柄杓を持って注ぐだけではなく、その時は必ず左手を茶碗に添えます。

添え手の形は「泣き手」と言って、お能で「しおる(=泣く)」時の手の形をします。(式正織部流では武術の形が所々に見られますが、お能の仕草も所作の中に取り入れられております。)

この条では、茶入れを扱う時に、「盆に置く時指先を先に付け」と簡単に書いてあります。茶入れを持つ手と、添え手の両方の手の動きが有りますが、要は、茶入れをお盆にトンといきなり置かずに、軟着陸させるような動きをする訳です。

 

71番目と72番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号 9/27頁出。市野氏本9頁出。

(猪子内匠(いのこたくみ)の数寄屋で行われた織部の雑談の中から抜粋)

慶長12正月12日朝 猪内匠数寄ニテ古織雑談

一 数寄乃振舞に餘り結構わろきよし但くわれさるもわろきと利休物語り候

一 利休にて数寄屋の振舞ニ菜三ツ多く出候事マレ成由

[訳] 慶長12年正月12日の朝、猪内匠(=猪子一時(いのこかずとき))の数寄屋で古田織部が雑談した

一 数寄屋でのご馳走が余りにも結構を尽くしたものは良くない。但し、食べられないのも良くない。利休を物語った時に出た話です。

一 利休での数寄屋振舞いに、菜(さい)(=おかず)が三つより多く出た事は滅多になかった、との事です。

 

98番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号11/27頁出。市野氏本13頁出。

一 数寄やにて、茶巾茶によこ連候時は、取替テも不苦由

[訳] 一 数寄屋で、茶巾が茶で汚れた時は、取り替えても苦しからずとの事。

[意] 一 数寄屋に於いて、茶碗を拭き清めて茶巾が汚れてしまった場合は、茶巾を新しいものに取り替えても構わないと言う事です。

式正織部流では、事前に茶巾を必ず2枚以上用意して点前に臨みます。台子点てになると、時には茶巾4枚を茶巾台に載せて運び入れます。茶巾の枚数が多くなると、茶碗に仕込むと溢れかえってしまいますので、茶巾台と言う陶器製の台に載せます。茶巾台は茶巾と茶筅の両方を載せますので、茶筅台とも呼んでおります。茶巾台と茶筅台は同じものです。

 

113番目に出て来る条です原本1巻目コマ番号13/27頁出。市野氏本15頁出。

一 月さへ候時腰かけに行燈候事、腰廻あたり暗ハヽとほし能く候

[訳] 一 月が冴えている時、腰掛けに行燈(あんどん)の件、腰廻りあたりが暗ければ、灯(とも)しても良いです。

[解] これは「夜咄(よばなし)」の茶会の話です。日暮れ時から始まる茶会です。庭には灯籠に火を灯し、室内では燭台に明かりを入れて行います。なかなか風情のある茶会です。

腰掛と言うのは、茶室の準備が整う迄のあいだ客は庭で待っていますが、その待つ場所を腰掛と言います。字の通りの腰掛で、簡単な屋根と囲いがあり、言うなれば椅子の有る屋根付きバス停の様な形の建物です。

月が冴えている時、腰掛けに行燈を置く件ですが、腰の周囲が暗い時には、行燈に火を灯しても良いです、と織部は言っています。

月が煌々と照らしている時は、草木の葉の一枚一枚に影が出来る程明るく、着物の柄も見える程になります。月の光を愛(め)でて、それを愉(たの)しむ向きには、そういう場所に行燈があるのは些(いささ)か興醒めですが、腰掛けの周りが暗ければ足元が危うく、そうも言っていられません。行燈に火を灯しても良いのではないかと言う事です。

灯籠に火を入れるだけでは無く、室内で使う行燈をわざわざ庭に持ちだして腰掛けに置き、一層の明るさを添えます。

 

139番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号 15/27頁出。市野氏本18頁出

慶長12古織腫物見廻りに宗可上洛之時相尋

一 茶入ノ袋の緒フルクナリ候ハヽ取替能候。

[訳] 慶長12年古田織部の腫物の見舞いに上田宗箇上洛の時尋ねました。

一 茶入れの袋(=仕覆(しふく))の緒が古くなったならば取り替えた方が能(よ)し。

 

下記は市野氏本の18頁の147番目に出て来る条です。この番号は最初に申し上げました様に、市野千鶴子氏校訂の古田織部茶書」内に記載の「宗甫公古織へ御尋書婆が勝手に付けた通し番号です。国立国会図書館所蔵の「宗甫公古織江御尋書」に書かれている条が、市野氏の校訂本と対応していると思っていましたが、実は、市野氏の本に付けた140番から149番までの条が、国会図書館の本にはありませんでした。もし、原本に載っているとすれば、原本のコマ番号15/27頁に有る筈のものです。そこで、この条をパスしようと思いましたが、この147番が、平仮名ばかりで何を言っているのかさっぱり分からず、逆にそれが面白くて嵌ってしまい、クイズ感覚で取組んでみました。

一 くさりの間ひるかきたてヽものヽむかひへなり能々かへむかひへなり候へハ、下のかぎ前元へなりよく候、但座敷によりワきへも替り候ハんや。

[訳] 一 鎖の間の蛭鉤(ひるかぎ)をたてて、釜の正面へ形よく上手に動かして替えたならば、下の鉤は前の通りに形良くなります。但し座敷の状態によっては脇が正面に替わる事も、あるのではありませんか?

言葉が難解で訳に自信がありません。一応次のように解釈してみました。

ひるかき→蛭鈎(ひるかぎ)。 ものヽ→釜の(「もの」が何か分かりませんが、前後関係から釜と解釈しました。) むかひ→正面。 へ→方向。 なり→形。 能々(よくよく)→心を込めて丁寧にor上手に。 かへ→替える。変化させる。動かす。 なりよく→形良く。 ワき→脇。 候ハんや→動詞四段活用「さふらう」の未然形+助動詞「む」の終止形+疑問の「や」

[(くさり)の間について]

鎖の間と言うのは、囲炉裏の様な構造を持った茶室の事です。炉の上に鎖が垂れていて、その鎖の先端に釜を掛ける仕組みになっています。

総じて鎖の間は広く、茶室で濃茶を頂いた後、席を移して鎖の間へ行き、そこで薄茶を頂きながら寛ぐ、と云う様な使われ方をしていたらしいです。茶事で言う、いわゆる中立(なかだち)の様なものですが、露地(庭)に出て気分を新たにして鎖の間へ向う事も有ったでしょう。或いは渡り廊下伝いに鎖の間へ・・・となったかも知れません。更に鎖の間から書院へ座を替えて宴になるのが、大名茶事のおよそのコース。

この条は、その鎖の間についての話題です。

鎖の間には天井に蛭釘(ひるくぎ)が打ってあって、そこに鎖を掛けます。蛭釘と言うのは「?」のような形をした釘の事を言います。よく、ハンガーを掛けたり、絵画を掛けたりする時に用いるあのフック釘の事です。

天井の蛭釘に鎖を掛けてその下に湯を張った鉄釜を下げるので、かなりの重量に耐える様に、蛭釘を打つ天井裏には、しっかりとした材木がさし渡されています。その様にして下げた鎖の先端には蛭鉤(ひるかぎ)又は蛭鈎(ひるかぎ)(→フック)が付いています。蛭鉤も蛭鈎も字が違うだけで同じものです。お釜の鉉(つる)が掛け易いように、先端が丸く曲がっている物です。その形状が蛭(ひる)という環形動物(ミミズなどの仲間)が体を曲げた状態に似ているためにこの名が付いています。

お釜を蛭鈎に掛ける時、鉤(かぎ)の向きに対してお釜の鉉(つる)が十字に交差して掛かりますので、位相が90°ズレます。更に、鉉とお釜に掛けた鐶でも十字交差して90°ズレます。上からぶら下がって固定されていない状態のお釜を、正面に向けるには少し工夫が要ります。蛭鈎の状態によっては、お釜が正面に向かずそっぽを向いたりする事も有りますので、その時の事がここに書かれている、と読み解きました。

 

148番目に出て来る条です。但し、原本にこの条は見えず。市野氏本19頁出。

一 台子の茶、むかしハふたひしゃくにてたて申候、利休時より一ひしゃくにてたて候、是ハ不定候、ツネノ数寄同前。

[訳] 一 台子の茶は、昔は二柄杓で茶を点てていました。利休の時から一柄杓で茶を点てる様になりました。これは不定です。いつもの数寄は前と同様に。

[意] 台子のお茶は、昔は柄杓で2杯のお湯を汲んで点てていました。利休になってからは、柄杓で1杯汲んでお茶を点てる様になりました。これははっきりと定まっていません。定まってはいませんが、いつもお茶を点てる時は、今までやってきた通りにしなさい。

昔は2杯で点てていましたが、今は1杯で点てています。だから、今迄の通りの1杯でやりなさい、と言う事。

 

市野氏の本に付けた通し番号155番目の条の「一 大壺ハ座敷の床には、まん中によく候 (原本:大壺ハ座敷に真中置能候)」と、156番目の条の「一 書院の床に華入大壺なとおき候事、それはしらさる事ニ候、何とおき候ても苦間敷候 (原本:一 書院乃床に花入大壺なと置候事夫ハしらさる事ニ候何を置候ても不苦候)の二条が、原本では合体して書かれているので、市野氏の本と原本とで番号が一つ合わなくなります。このブログでは市野氏の本に付けた番号で通して行きます。

 

161番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号16/27出。市野氏本20頁出。

一 濃茶之跡、すすかすに茶せんを入すすく事置又むさきと古織被申候由。

[訳] 一 濃茶の後、濯(すす)がずに茶筅を入れて濯ぐ事、又むさ苦しいと古織が申されたとの事。

[解] 濃茶を点ててその後、茶碗を濯がずに汚れたままの茶碗に茶筅を入れて濯いで置くのは、又、不潔で不快なことだ、と古織(=古田織部)が申されていたとの事。

 

下記は187番目に出て来る条です。原本1巻目コマ番号19/27出。市野氏本23頁出。

但し、市野氏本の178と179と180の条は、原本では一つの条に纏められて書かれています。更に184と185の条も、原本では一つの条になっています。従って、市野本と原本とで番号の狂いが出てきています。

一 袋棚に中次置合時中次の下に敷紙大小不折定候由

[訳] 袋棚に中次(なかつぎ)を置く時は、中次の下に敷紙を置きます。その敷紙の大小の折りは定まっていません。

[解] 「敷カミ」と言うのは、和紙で作ったコースター状の物を言います。敷紙は既製品では無く、折り紙をする様に紙を折って作ります。折りの大きさは定まっておりません、と言う事です。(婆の意見:敷紙はコースター的役割ですので、中次の底面より小さいのは論外です)

実際にお点前する時、中次を扱う時は必ず敷紙を付けたまま扱うので、敷紙が中次の底面に対してぎりぎりのサイズだったりすると、とてもやり難くなります。中次の底面よりもはみ出すように大き目に作った方が、やり易いです。

中次と言うのは、小さな茶筒の様な形をした抹茶入れです。棗と同じです。棗は、棗の実のように丸みを帯びた形をしていますが、中次はストレートの筒型で、開け方も独特の開け方をします。

 

市野氏本に付けた通し番号195~232、頁にしてP25~P34 (P27の最後の一条を除く)まで、原本の上巻では抜けていますが、その代り、原本下巻の1頁から6頁迄、コマ番号にして3/22 ~ 5/22に当該の条が記載されています。

下記は、市野氏本216番目に出て来る条です。上記の通り原本上巻にはこの条は見当たらず、原本下巻にコマ番号6/22に記載されています。

慶長12年宗ケ伏見へ上られ候時、一書ニテ織部殿尋候へは申来覚

一 台子之時、茶杓ハ盆ニ置合候て能候、なく候ても不苦候。タイ天目・茶入置合候時ハ、茶せん・茶杓・茶巾ヲシコミ候ても置候。

[訳] 慶長12年、宗ケ(上田宗箇)が伏見へ上られた時、一書面にて織部殿へお尋ねなさったので、(織部が宗ケへお返事を)申し寄こした覚え。

一 台子点(だいすだて)の時、茶杓はお盆に置き合わせるのが能(よ)いです。置き合わせなくても構いません。台天目(天目台にのせた天目茶碗)と茶入れを置き合わせる時は、茶筅茶杓・茶巾を茶碗(仕込み茶碗)に仕込んで置きます。

 

217番目に出て来る条です。原本上巻にこの条は見えず、下巻に有り。原本下巻6頁、コマ番号にして6/22。  市野氏本217番28頁出。

一 右勝手の時、台子ニ置合候事。左勝手ノことくニ茶入ヲ右ニをき、たいてんもくニ置候。

[] 右勝手(逆勝手)の時、台子に置き合わせる事。左勝手(本勝手)の如くに茶入れを右に置き、天目茶碗を置いた天目台に置き合わせます。

[] 右勝手と言うのは、亭主が点前座に座った時、亭主の右側に壁が来て、左側が空いている様な配置の茶室の事を言います。この場合、お客様は亭主の左側に座るようになりますので、式正織部流では、お点前をご覧に入れる時には左側からの視線を意識して、お道具の配置も通常の配置では無く、左右逆転します。お点前を始める時の当流での配置は、台子下段は向かって右に風炉、中央に杓立(しゃくたて)と蓋置(ふたおき)、左に水指(みずさし)という並びになります。そして、お点前は殆ど左手を主にして所作をします。左手の柄杓で湯を掬(すく)い、右手を茶碗に添え手する、と言う具合です。

上段の置き合わせは、この条と同じです。右に、盆に載せた茶入を置き、その隣に天目茶碗台に載せた天目茶碗を置きます。

「宗甫公古織江御尋書」では、右勝手の場合の左右逆転した図と、逆転しない図が並記されて記載されています。

まとめると、台子の上段には、左勝手(本勝手)と同じ様に、向かって右側にお盆に載せた茶入を置き、左に天目台に置いた天目茶碗を置きます。

 

 

 

この記事を書くに当たり、下記のような本やネット情報を参考に致しました。

国立国会図書館デジタルコレクション「宗甫公古織江御尋書」  

  検索は「茶道叢書 ウエブ目録 リサーチ・ナビ 国立国会図書館」: 目録通し番号108

「宗甫公古織江御尋書」  古田重然著 市野千鶴子校訂

わび茶と露地(茶庭)の変遷に関する史的考察-OPAC 

       浅野二郎・仲隆裕・藤井栄次郎(環境植栽研究室) 千葉大学

GalleryA4:数寄屋大工-美を創造する匠

初期茶道史に見られる「数寄」の変遷  青山俊董

和風堂全景

上田宗箇流の特徴

角川 新版 古語辞典 久松潜一・佐藤謙三編

学研全訳古語辞典

近世古文書用語検索システム

古文書解読の基本的な事 よく出る単語編 五十音順

茶道体験教室 パート3 生徒さんとの日々のしおりと

古田織部の鎖の間? 茶道体験教室 パート4 生徒さんとの日々のしおりと

茶の湯覚書歳時記

この外に「ウィキペディア」、「コトバンク」などなど多くのサイトを参考にさせていただきました。有難うございました。