式正織部流「茶の湯」の世界

式正織部流は古田織部が創始した武家茶を伝えている流派で、千葉県の無形文化財に指定されています。「侘茶」とは一味違う当流の「茶の湯」を、武家茶が生まれた歴史的背景を中心軸に据えて取り上げます。式正織部流では「清潔第一」を旨とし、茶碗は必ず茶碗台に載せ、一人一碗をもってお客様を遇し、礼を尽くします。回し飲みは絶対にしません。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

6 武士は蛮族

武家茶、武家茶と言うけれど、そもそも武士って一体何なのだ? 一言で言えば、武士は蛮族です。 「侍」ってカッコいいです。それだからでしょうか。「侍ジャパン」「サムライ○○」など、侍を冠した言葉が巷に溢れています。 己を磨くストイックな姿。死地をも…

5 拳骨の作り方

古田織部は武人。武士の挨拶の仕草をそのまま茶席に持ち込みました。 拳骨は次の様にして作ります。 先ず親指を折り、それから他の四指(人差し指・中指・薬指・小指)を折って、親指を内側に隠します。親指は外に出しません。 何故? 親指を切り落とされてし…

4 清潔こそ命

式正織部流茶のご挨拶は拳骨でします。 拳骨を畳に着けてご挨拶するのは、手の平を汚さない為です。 前回(2020.4.14)にアップした記事「ご挨拶は拳骨で」では、手の平を畳に着けて平伏するのは危険だから、と言っていたのに「手を汚さない為だ」と前言を翻す…

3 ご挨拶は拳骨で

何時だったかずっと前、お茶を習い始めた頃の事です。 お茶会会場の玄関で、お客様のお履物を揃えていた時に、こんな事がありました。 私達の茶会にお出でになった或る方が 「拳骨の挨拶なんて全く礼儀知らずだわ」 と、帰りしなの玄関で仰っておりました。 …

2 古田織部はウニのよう

古田織部はウニのようです。 海に住んでいるウニによく似ています。 いえ、彼の面相がウニに似ていると言っているのではありません。ウニの様にあらゆる方向に針が向いていて、一方向からだけではとても捉えきれないのです。 針の一つに茶の湯があります。針…

1 はじめに

初めまして。古田瑞陽と申します。 齢60を過ぎてから式正織部流の茶の湯を習い始めたお婆ちゃんです。 どうぞよろしくお願いいたします。 老いると体の不具合が色々出てきて、先の短さに焦りを覚えます。 2019年の春、病を得、食べ物制限をお医者様から告げ…